カテゴリー: 動物の病気について

転院とセカンドオピニオン

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です

 

動物病院への意識の高まりからか

当院でもセカンドオピニオン希望の来院の方も増えてきました

 

転院とセカンドオピニオンの違いのお話です

 

ファーストの動物病院での治療、検査、診断についてちょっと疑問を感じた場合、ほかの獣医師の意見を伺い

ファーストの病院での治療、検査が妥当なものであるか

治療法の示唆がないか

を判断すること

がセカンドオピニオンです

 

ファーストの病院の診断が正しく、治療法も提示されていた場合

ファーストの病院に戻り治療を受けることが前提です

 

最近多いのが

[ほかの病院で治らなかったから、セカンドオピニオン希望です」

 

これは。。。。

転院です。。。。。

 

医療業界で有名な言葉があります

 

後医は名医

 

以下のリンクがわかりやすいです

「後医は名医」という言葉を知っていますか?

「患者さんを最初に診た医師(前医)よりも、後から診た医師(後医)の方がより正確な診断・治療ができるため名医に見えてしまう」

というものです

 

患者さんを最初に診る医師(前医)はその患者さんの情報が何もない中で、情報を聞き出し、必要と思われる検査を選び、診断・治療を考えていかなければいけません

 

しかし後から診た医師(後医)は、前医が聴取した情報や検査結果・治療結果などを参考にしながら、診断・治療を考えることができます

 

この場合、前医と後医では後医の方がより正確な診断・治療が出来るというのは明らかですね

 

あとから診察した医師のほうが

今までの病気の経歴、検査歴、治療歴から疾患を絞れる

あとから診察した医師は前医の検査治療に批評ができる

(逆はできません)

 

たとえば

慢性疾患やまれな病気の場合

症状から鑑別診断として

いくつかの病気をあげます

斜線が正しい疾患としましょう

 

いきなりこの疾患を確定できることもありますが

確定診断の検査が侵襲的(麻酔が必要であったり、開腹手術が必要であったり)

の場合はそのほかの病気を除外していきます

 

侵襲的ではない検査や、診断的治療から行います

塗りつぶしが除外したところです

こうしてほかの疾患を除外していき診断に近づいていきます

しかしあとちょっとというところで

検査治療して治らないからほかの病院行こう。。。。

 

となると

後医は

今までの治療経過からあと一押しの治療、検査をします

 

そうすると

「今度の先生は全然検査しないで病気を見つけてくれた、治してくれた」

名医のできあがり

 

後医は名医となるわけですね

 

後医での治療成績は、前医での治療があってこそ…

その時間経過と治療経過によって、もう少し前医での治療を続けていれば、治っていたかもしれない…

他の動物病院に転院し、治療し、治癒した時に2件目に通院していた…っと言う事だけ…

 

 

当院も例外ではありません

 

前の先生の検査を見ると

あぁ 次はこの治療するつもりだったんだな

次はこの検査をするつもりだったんだな

といった例もやはりあります

 

残念ながらもれなく逆もあります

私の説明不足なのだなと反省です

 

 

治療途中の”転院”はお勧めできません

治療、検査に疑問を感じたときは先生と相談なさってください

 

[次はどういった検査をするのか

その検査でなにがわかるのか

除外診断はどこまで進んでいるのか」

 

それでも納得いかないときは転院もいいと思いますが

できればセカンドオピニオンをお勧めします

次々とドクターショッピングを続けていると

また一から検査をすることもあり

動物たちに負担がかかってしまいます

 

診断についてのセカンドオピニオン

診断に基づく他の治療方法を求めてのセカンドオピニオン

はお勧めします

 

 

その時の状態を診ていないので当たり前のことと思いますが

前医を批判、否定することはありません

セカンドオピニオンを求めていらっしゃった場合は

忌憚なく検査、治療についての考えを述べさせていただきますね

 

マラセチア性外耳炎

練馬区、西東京市の南大泉せき動物病院です。

今日はお耳のお話。

他の病院さんで抗生物質とステロイドの処方されているが治らない

耳垢を染色して診るとマラセチアだった、ということが非常に多いです

ちっちゃいひょうたん型の粒粒がマラセチアです

{6D1CD48B-A36B-413D-A406-AAD466BFC6E4}このマラセチア
酵母と呼ばれる種類の病原体で一般的な抗生剤では効果がありません

耳道内をたっぷりの洗浄液で洗い流し、抗真菌剤の外用薬を使います

当院へ来られる外耳炎の多くはマラセチアが原因のことが多く
他院さんからの転院もこのパターンが多いです

耳垢の染色検査を行ってからお薬を決める必要があります

染色で細菌性だった場合は
どのような菌が増えていてどの抗生剤が効くのか
培養感受性試験を行うこともあります

費用は少々かかりますが、すでに抗生剤を投与されていることが多く
多剤耐性菌(ほとんどの抗生剤が効かない強くなった菌)が検出されてしまうことも

たかが外耳炎と思って治療していませんか?
外耳炎から中耳炎、内耳炎と進行していきます

石灰化し硬くなってしまった耳道は元通りになることはありません
機能も戻りませんので
耳垢を外に押し出すこともできず悪循環にはまります

耳道が硬く狭くなってしまった最終段階では
これ以上中耳炎、内耳、中枢へと進行するのを防ぐために外科的な介入も必要になります
耳道切除、鼓室包切開などです
侵襲度の強い手術ですし、顔面神経麻痺などが残ることもあり
できるだけ避けたい手術です

犬の僧帽弁閉鎖不全症 その3

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。

 

犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療のお話です。

 

しれっと始めましたが

 

その2はいつだったか。。。

 

心臓病 その1真顔

心臓病 その2真顔真顔

 

 

 

ではいつから治療を開始するか

 

アメリカ獣医内科学会(ACVIM)の基準でいくと

 

心臓の拡大を認めたとき

です

 

それ以前に投薬開始しても予後は変わらないと言われております。(今のところ)

今後新しい知見がでれば変わりますのでご了承ください。

 

では逆流が見つかり、心拡大がなかったときはどうしたらいいのでしょう?

 

定期的な心エコー検査をお勧めします。

 

1年に1回とかじゃだめですよ。

今日診て大丈夫でも1か月後から拡大があるかもしれません。

1年に1回しか検査しないと。。。。

11か月も無治療になりますよね。

 

おおむね3か月くらいを目安にエコー検査をお勧めしています。

 

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心臓は血圧をあげることで血流を維持しますが、さらに心臓に負担をかけることになります。

 

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ACE阻害薬

(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)

長い名前ですが、簡単に言えば血圧を下げるお薬を始めます。

 

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安全なお薬ですが、初めての投薬は病院が開いてる時間に始めましょう。

 

それでも逆流が多く心拡大、逆流のスピードが速い場合は

ピモベンダン

PDEⅢ阻害薬を始めることが多いです。

 

心臓の収縮力を上げ、同時に血管拡張作用もあるので血圧も下げてくれます。

 

それでもいつかは破綻し肺水腫に陥ることがあります。

その時は入院治療となります。

 

肺の中の水を抜くために利尿薬を使い、腎臓に頑張ってもらいます。

血液の水分を減らすことで、肺の中の水を引っ張ってくるのですが

かなり腎臓に負担を強いることになります。

逆に腎臓の保護を目的に血流を維持すれば、肺からは水が抜けません。

 

腎臓と心臓はシーソーのようで一方の治療が他方へ負担をかけてしまうのです。運命の双子と言われてます(たぶんどこかで)

 

そのほかにも、空咳(気管性)の場合には気管支拡張剤

血圧をさらに下げ、冠動脈(心臓自体の血管)拡張させる薬

血栓予防薬

肺高血圧症改善の薬

なども組み合わせます。

徐々に投薬数も増えることも多いです。

 

 

内科治療の目的は治すこと、ではありません

心臓病により亡くなることのないように悪化を遅らせることで

天寿を全うさせてあげること です

 

 

でもでも内科療法しかないの?

 

いえ、少しずつではありますが

心臓外科を行うことも増えてきました。

 

とはいえ、当院ではできません。

 

人工心肺を備えている高度医療を行える施設をご紹介します。

JASMINE どうぶつ循環器病センター

こちらを紹介いたします。

 

上地先生は大学時代の先生です。

スタッフの一人は同級生でした。

すごいですねぇびっくり

 

費用もそこそこすごいですが、

考えられない金額ではありません

というか手術の難易度、必要な設備、人員を考えれば適切と思います

 

 

健康診断受けてますか??

こんにちは猿
練馬区、西東京市の
南大泉せき動物病院、
看護師の梶原ですあしあと
熱中症に続き、
健康診断のお話しですトイプードル
健康診断…
やったほうがいいの?
まだ若いから大丈夫じゃない?
と、思われがちですがっ!
年を取った時、
病気になってしまった時の
比較になるため
健康な時の血液検査の数値を
知っておくことも大切ですよチワワ黒
例えば、具合が悪くて
検査の数値が異常値だった場合!
その子の標準の数値が元々高いのか
具合が悪いから上がったのか
どっちかわかりませんよねえーん
なので健康の時の数値を
知っておくのは大切なのです!
当院では
3月、4月、5月の3ヶ月間で
結構な方がやられておりますびっくり
なんと!!恐竜くん
毎月各40件ずつ、合計約120頭の
わんちゃんやねこちゃんが
健康診断を受けています!
わんちゃんの場合だと、
この3ヶ月間は
フィラリアの検査と合わせて
一緒にされる方が多かったですキラキラ
健康診断は
その子の年齢、状態により
コースをお選び頂けますニコニコ
※腫瘍などの形の異常は
血液検査では分かりませんので
超音波検査、レントゲン検査を
オススメしております。
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まだ若い子は、、!
あしあとAコース:5000円 (税抜)あしあと

・一般身体検査
・血液検査
7歳、8歳以上の子にオススメ!
あしあとBコース:12000円 (税抜)あしあと
・一般身体検査
・血液検査
・レントゲンもしくは超音波検査
(症状や不安、心配なところに
応じ選択できますので
ご相談ください)
ガン、腎臓が心配な子は、、!
あしあとCコース:20000円 (税抜)あしあと
・一般身体検査
・血液検査
・尿検査
・腹部の超音波検査
・レントゲン検査(胸部2枚)
※ Bコース、Cコースは
わんちゃんねこちゃんを
お預かりし、休診時間中に
検査を行いますので
お迎えは午後の診察時間内で
お願いいたしますあしあと
超音波検査、レントゲン検査などの
検査結果はお迎えの時に
お伝えします!!
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オプションで
気になるところ、心配なところも
検査できますので
ご相談ください音符
大切な
わんちゃん、ねこちゃんのために
早期発見、早期治療をデレデレ

[熱中症!]症状と予防、対策について★

 

こんにちはふんわり風船ハート
練馬区、西東京市の南大泉せき動物病院、看護師の梶原です乙女のトキメキ
最近暑い日が続いてますねぇ、、カキ氷
本格的な夏が来る前に!!
今回は熱中症について少しお話しさせてください口笛
まずわんちゃん、ねこちゃん達は人間よりも平熱が高いです。
犬わんちゃん:38度前後犬
猫ねこちゃん:38〜39度猫
また、歩いている場所がコンクリートに近いので
暑い日のお散歩は注意が必要となりますあしあと
実際に室内の温度と
地面の温度を比較してみましたグラサン
まずは6/2の室内の温度ハリネズミ
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次は外で地面に置いた温度です!
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なんと43.2℃ガーン
まだ9時台なのにビックリです恐竜くん
コンクリート以外にも
締め切った室内、
車内でのお留守番、
ペキニーズ、パグなどの短頭種の子、
高齢の子、
心臓、呼吸に持病のある子は
要注意です!!
暑い日はわんちゃん達が熱中症にかかっていないか
よーーく様子を確認してあげてください。
太陽熱中症の症状について太陽
こんな症状が出てたら熱中症かも!?
・急激な体温の上昇(40℃以上)
・口を開けてハァハァと
苦しそうに呼吸をしている。
・ヨダレが大量に出ている。
・ぐったりしている。
・食欲がない、嘔吐、下痢   など。
チワワ黒もし熱中症になってしまったらチワワ黒
〜動物病院へ行く前にやるべき事〜
・日差しをさけ日陰で風通しの良い
涼しい場所へ移動する。
・全身に水をかける。
(特に動脈のある首を冷やし
39.5℃くらいまで下げる)
・意識があるようであればお水を飲ませてあげる。
もし状態が良くなったとしても
内臓に負担がかかっているかもしれないので
必ず病院へ行きましょうくまアイス
ひまわり熱中症になる前にひまわり
〜お家で簡単にできる暑さ対策〜
・窓を開けるなどして日陰で風通しの良い場所を
確保してあげる。
※クーラーをつけて室温を下げる場合は
冷気は下にいくのでわんちゃん達には寒すぎではないか
確認してあげてください!
・床に置くタイプの
冷却材、冷却マットを置いてあげる。
・いろんな場所にお水を置き
いつでも新鮮なお水を飲めるようにしておく。
熱中症は重症化すると
命に関わる病気です。
しっかりと対策をしていれば
未然に防げるので
大切なわんちゃん、ねこちゃんのために
しっかりと予防してあげましょうトロピカルカクテル

 

 

 

歯科手術と無麻酔での歯石除去について

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です

昨今ペットショップなどで

無麻酔下での歯石取りをおこなっているところがあります

皆様も聞いたこと、調べたことありませんか?

当院、というか私も含め獣医師たちの中でも問題となっておりますガーン

いわゆる歯周ポケットには細菌がたんまりたまっていて

徐々に歯周ポケットを深くします。それが進行すると歯を支えてる骨を溶かし始め、最終的は歯が抜けたり顎の骨折を引き起こします。

細菌は骨さえも溶かしてしまいます

また歯垢はそのままにしておくと

バイオフィルム(バリアみたいなもの)を作りちょっと磨いただけでは

落ちなくなってきます

これらのことから日々のデンタルケアが重要なのです

歯ブラシとデンタルジェルを使ってのケアがベストではありますが

小さいころから、本当に歯ブラシに慣れさせておかないと

なかなかできるものではありません

まずは指を口の中に入れることから始めてみましょう

指を口の中にいれて、ご褒美(ごはんでも褒めるでも)

繰り返すことで指を入れられることはいいことだ

と覚えていくのです

そこまでできたらデンタルジェルをつけてみましょう

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先生、それもちょっと厳しいよ真顔

はい、わかります、難しいですよね

そんなときはこれ

ごはんに振りかけるだけ

海藻成分由来で歯石が付きにくくなります

(全くつかなくなるわけでもついてしまったものが治るわけでもありませんよ)

それでもついてしまった歯石はスケーリングで落としましょう

ポイントは歯肉の中の細菌、歯周ポケットの中の細菌の塊をねこそぎ落とすです

見えている歯石をとる、ではありませんよ

そして歯と歯肉の間に超音波で振動する金属を入れるわけで無麻酔なんかでやったら痛いです

そのあとはポリッシングと言ってブラシとゴム製のカップを使って歯をつるつるに磨き上げます

これも無麻酔で動かれた日には痛いし毛を巻き込むし

そして動物たちは何のために処置をされているのかわからないため恐怖を感じます

処置中はかなりの振動、刺激が加わるためさらに怖いですよね

動いてしまえば不必要なところを傷つけてしまいます

麻酔下で処置をすることで

歯の裏側や歯周ポケットの歯石や細菌の塊を除去して

歯をポリッシングしてつるつるにして

始めて”歯科治療”として成り立つのです

口腔内を清潔にする意味を理解していない動物の精神的な負担や痛みを取り除き
しっかり口腔内を清浄化することで、歯周病の治療と予防を遂行しましょう

無麻酔でカリカリしても

歯周ポケットの中は汚いです、歯周病の治療にも予防にもなりません

題目では歯科”手術”とたのはこのためです

もちろん麻酔に対して怖いイメージもあります

麻酔前には血液検査、画像診断を行い

麻酔プロトコル(計画)を立てて、最小限の負担で行うように努力をしております

どの麻酔薬、鎮痛薬を組み合わせて副作用を軽減するか

むしろ麻酔計画のほうが大切です

今回の猫さんの治療前と治療後の写真です

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残念ながら右上の奥歯はグラグラ、歯根の吸収も始まっていたため

抜歯して縫合となりました

 

フィラリア予防の注射についての考察

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。

だいぶ固い題目ですね。

みなさんは1年間効果が続くフィラリア予防注射ご存知ですか?

そういうお薬があります。

1回注射をすると1年間フィラリア予防のお薬は必要ありません。

すごいじゃん!やろうぜ!といった方もいることでしょう。

ちょっとまって。

ここからは1獣医師としての考えで否定するわけではありませんが、

少々聞いてください。

この注射、懸濁液といってかなりドロドロしています。

太い針でないと、まぁ吸えません。

ワンちゃんに注射するときも、太い針でないと接種できません。

この針を太いか細いかは、主観ではありますが、太いと思います。

針の太さはこんな感じ

オレンジのものが25G、緑が21G(数字が大きいほど細い)

懸濁液の吸引、注射は21G(緑)を使います。太い?

当院では採血、ワクチン、皮下注射などは25Gで接種しています。

21Gをチワワ、トイプーに打つのはちょっと気が引ける。。。

次に血中濃度です。

お薬は体内に入った後、ある程度の濃さで存在しないと効果が出ません。

12ヶ月効く注射となるとイメージは

ですが

実際はこんな感じ。

一気に濃度が上がります。

そして12ヶ月かけて体内から排泄されます。

もし薬剤でアレルギー反応がでたら?12ヶ月効いちゃうのにびっくり

このお注射、フィラリアには効きますが、ノミダニには効果がありません。

毎月ノミダニのお薬は必要です(食べるタイプ、垂らすタイプ)

あれ?結局毎月の投薬は必要じゃない?

それなら一粒でフィラリア、

ノミダニ、お腹の虫も落とせるおやつタイプのお薬がいいんでない?

といった感じで当院では採用していないのです。

 

でも

お薬を飲ませられない(攻撃行動などで)

おやつタイプでも食べてくれない

って子にはすごく有効だと思います。

ただ楽だから、飲ませ忘れがないから、といった理由であれば

飲み薬でフィラリア、ノミダニも予防しませんか?

と私は思っています。

反論、異論はもちろんですので、一獣医師の考えと思ってください。

 

ただですね、

このお薬、開封すると8週間で使い切らないといけません。

しかも体重換算すると160kg分ガーン

使ってみたい!という方、できれば80kg分ほどお仲間を集めていただけないでしょうか爆  笑

決してうちでは使いません!ではないですよ牛しっぽ牛からだ牛あたま

異物誤飲と口コミサイト結果発表とカレー屋さん

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。

先日の休診日は入院も通院もなく久々にお休みでしたので

カレーを食べてきました。

ナンがでかい

インドカレーと言いつつネパールの方がやっていますが、美味しいのでインドでもネパールでもいいです。
カレー屋さんほぼ外れがないと思うのは私だけでしょうか、ショッピングモールに入っているところも大体美味しいですウインク

そして例外なくナンがでかい。

チーズナンはもう食べきれないくらいです。

最近異物を食べてしまう子が多く、何催吐させることが続きました。

チョコレート、、メガネ拭き、、

なぜメガネ拭きを食べてしまうのか、美味しそうに見えたのか……

くわえてしまったときは、慌てて取ろうとすると取られると思って飲み込んでしまいます。

おもちゃやおやつで気をそらしてあげてください。飲み込んでしまったときは、自己流で吐かせようとせず、来院してくださいね。

ネットで調べるとオキシドールや食塩、などなど出てきますが、胃は荒れ放題、食塩中毒になってしまいます。

口コミサイトに投稿してくださった方ありがとうございました!
結果発表!
4人の方に投稿してもらいました、が
お二方は非掲載となってしまいましたガーンガーン
そういうものなのでしょう

全く関係ありませんが、上田真田まつり行きたかったなぁ
殿!三十郎!小山田殿!

 

猫の肥満細胞腫

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。

今日は猫の肥満細胞腫についてです。

え?うちの子太ってるから?

ちゃいます。

細胞にヒスタミンなどの顆粒をたくさん抱え込んでいて大きく見えるから肥満細胞なのです。

点々が顆粒です。

この肥満細胞、正常でもリンパ節など組織中には散見されます。

細胞分裂が止まらなくなり異常化したものが肥満細胞腫です。

犬と猫では少々違う増え方、悪性度なのですが、

皮膚にできた肥満細胞腫は、一般的には猫の方が悪性度は低く手術で切除すれば問題ないことが多いです。

犬の場合は悪性度が高く、浸潤(浸み込むように広がっていく)

転移(遠くの組織に腫瘍が飛んでしまうこと)

が強いためかなり大きく切除しないとなりません。

猫の場合は頭、頚(くび)に出来ることが多く、小さめのしこりを作りますが、犬程大きく切除しなくてもきれに取り切れることが多いです。

(とはいえ、中途半端にぎりぎりで切除するとすぐに再発します)

今回のネコさん

内股に皮膚炎があるとのことで来院されました

ムムム、なんか皮膚炎じゃないぞ

表面のスタンプを取ると、いましたね、肥満細胞ガーン

しかも

よくある”しこり”を”頭部”にと違います

 

 

猫では皮膚肥満細胞腫ではなく内蔵型肥満細胞腫が多くみられることも知られています。

文字通り肝臓や脾臓にできてしまい、それが皮膚に飛んでしまうタイプです。

幸いこの子は超音波検査で肝臓、脾臓には腫瘍がありませんでした。

表面がジュクジュクしており、下半身にできていることから

悪性度が高い可能性を考え大きめに切除することとなりました。

(今の技術では細胞診のみで悪性度を判断することはできません、

ですので切除は悪性と見越して大きめに切除がセオリーです)

手術範囲を毛刈りして、切除範囲をマーキングします。

切除後です。

腫瘍直下の筋膜も切除します。

縫合しました。

 

病理診断では中等度の悪性度でしたが、きれいに取り切れていました。脈管浸潤(血管、リンパ管にのって他に転移)も見られませんでした。

再発した場合でもセオリーは切除です。

ただし多発した場合、肝臓脾臓に多発した場合は

分子標的治療薬(腫瘍のみに作用するお薬)も選択範囲に入りますが、犬の肥満細胞腫の承認しか得られていないため、効能外使用となります。

その辺はご相談ください。

犬の肥満細胞腫、分子標的治療薬のお話はまた次の機会にニコニコ

客観的評価と抗がん剤(化学療法)

練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。

 

びっくりすることがありましたので

書かせてください。

 

一昨日から食欲がない状態でしたが、かかりつけの病院がお休みとのことで、当院に来院された猫さん。

 

二週間ほど前に食欲がなかったこともあり、かかりつけの病院で血液検査をし、肝臓の数値が高く、お薬を飲んでいたとのこと。

 

拝見させてもらうと、そんなに高くない。。。。

 

お腹をモミモミ触診すると、腸がかなり厚く硬くなっているところが10㎝程。

超音波検査でもやはり、分厚く(肥厚)なっており腫瘍、炎症性が疑わしい。

特に腫瘍。

 

高齢猫の腸管の腫瘍であれば、リンパ腫、腺がんなどなど。。。

リンパ腫であれば抗がん剤も選択肢に入りますが、ほかの腫瘍であれば第一選択は切除手術となります。

 

ということで

まずは血液検査で術前の評価をしました。

高齢なので甲状腺ホルモンも追加。

 

①体の外から腫瘍部分を針で刺し細胞診⇒リンパ腫なら抗がん剤

その他の腫瘍なら腫瘍切除、腸管吻合手術

 

②開腹手術をして、確定診断する。

リンパ腫以外であれば、第一選択。

 

といった話を一度、ご家族で話してもらうことにしました。

 

その後

かかりつけの病院さんにもう一度受診されたそうです。

と思ったらびっくり。

 

リンパ腫”だろう”とのことで抗がん剤を投与。。。。

え?

しかも即帰宅?その間30分。。。。?

 

”だろう”診断。。。。いいんですか?

 

抗がん剤というのは、腫瘍以外の正常な細胞にも多かれ少なかれ細胞死を招きます。これが抗がん剤の副作用ですね。

細胞分裂が盛んな骨髄、腸の粘膜細胞、

抗がん剤によっては肝障害、アレルギーなどなど。

 

腫瘍の種類によって使用する薬剤も全然違います。

これでリンパ腫でなければ、正常細胞を壊すだけで何の意味もありません。

 

ですので、抗がん剤を始めるには、何々細胞の腫瘍だ!という診断が必要になります。

 

そして仮に効果が見られたとしても、それだけ巨大な腫瘍が壊れれば、あまり好ましくない物質が体のなかにばらまかれるわけです。

(腫瘍溶解症候群)

入院をし、点滴をしながら悪影響が出ないように慎重に投与すべきです。

 

ご家族が”だろう”治療をそう望まれているのであれば、私からは強く言えません。

 

ただ、抗がん剤を使うには、客観的評価が必要であること。

正常な細胞にもダメージを与えること。

腫瘍の種類が違えば、抗がん剤治療は無駄であること。

 

ここの説明をすっ飛ばして、リンパ腫だろうから抗がん剤ね、

なんて説明だけで選択されているのであれば憤りを感じます。

 

何をもってリンパ腫?なんですか。

鑑別診断(病気の可能性)では上位には来ますが、

腺がんではない根拠は?

触ってわかるのであれば、すごいことです。

もし腺がんだったら今回の抗がん剤の意味は?

 

 

どの種類の抗がん剤を使用したかもわかりませんが、

仮にリンパ腫であり一時的に良くなったとしても、きちんとしたプロトコル(抗がん剤の計画)でなければ、治療効果はあがらず長期生存は望めません。

 

また使用する抗がん剤それぞれに合わせて副作用を防ぐ努力をしなければ動物たちにとっては不幸としか言えません。

 

ちなみにステロイドを投薬すると、炎症性であれ、リンパ腫であれ、一時的に体調は良くなるかもしれません。

ですが、一時的です。(1か月くらいかも)

長く一緒に過ごすための治療ではありません。

ステロイド投与してしまうと、後々抗がん剤が効きにくくなります。

 

費用の面や、抗がん剤に耐えられない、手術に耐えられない、などの理由ならその選択も間違いとは言えません。

 

しかし、当院での評価では問題ありませんでした。

 

私の説明不足で、ご理解いただけなかったのかもしれません。

 

ご家族には、きちんとご説明したいと思います。

 

 

先生。

肝臓数値が高ければ超音波当ててください。

触診してください。(怒りんぼでもなかったですよ、いい子でしたよ)

入院しているのに治療効果が上がらなければ、見落としがないかほかの検査も検討してください。

せめて高齢猫で肝臓数値高ければ、甲状腺ホルモンは検査しましょう。

 

根拠もなく抗がん剤を使い、うまくいけば名医。

もし外れて亡くなっても、がんだからしかたないで済ませる気ですか?

 

他の病院さんは私から見たら先輩、大先輩であり、

いつもは診察でも話したりはしないようにしておりますが、

今回ばかりはせめてブログには書かせてください。