カテゴリー: 動物の病気について

断定することの難しさと必要性 前編

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

例えばよくあるお話

今日から下痢、若齢 の子

食欲はあるのか、嘔吐も伴うのかの稟告を取り
検査をどこまで行うか決めていきます

食欲もあり、嘔吐もなしの場合

一過性の下痢を第一に考えます

原因は何ですか?
食べすぎであったり、食事の変更であったり、ストレス性であったり
断定はちょっと困難です

もちろん慢性の下痢であれば
原因を探るため、見落とさないために検査範囲を広げてみます

 

例えばよくあるお話

どこか痛がる、若齢、食欲元気問題なし

 

動物たちはここが痛い!と言ってくれないので触診、視診してみます

うーん、どこ触っても痛がらない

 

こんなとき多いのは脇を痛めたり(神経なのか筋膜なのか)

可能性は低くなるけど頸椎、腰椎の痛み

 

レントゲン検査で明らかな異常はみられません

 

 

”主観”である痛み

「ここが痛い」と言ってくれない動物たち

 

診断を確定するには客観的な評価が必要です

客観的な評価とは検査の異常

 

としたら追加で麻酔下CT検査

どこかに骨の変化がないか、関節の変化がないか

どこかに腫瘍が出来ていないか

痛みの場所を特定できていないため全身くまなくの必要があります

 

おそらくそれでも異常はみられないでしょう

 

みられない、ということは病気を除外できるので大切なことです

しかしながら若齢の子にいきなり侵襲性の高い検査をする必要があるのか

 

と考えますのでまずは痛み止め

非ステロイドの痛み止めに反応してくれました

 

となるとやはり痛めたのかなぁとなるわけです

 

反応しなければ、次の検査に進みましょう

 

もちろん高齢であれば慢性の疼痛を患っていることや

腫瘍や免疫疾患なども考慮しなければなりません

 

 

 

診断名をつけるということは客観的な評価が必要です

病理診断や、血液検査、ホルモン検査

レントゲン検査やCT検査

軽症で一過性の場合

これらの検査に引っ掛からないことが多く

 

逆に言えば

これらの検査で変化があるということは軽症でないことになります

 

症状が一過性の場合、対症治療で治ることが多く

原因を断定することよりも治療を優先します

 

診断まで一気につけることもありますが

費用と動物たちの負担を考えると

状況によっては診断的治療が有効なことも多いです

 

一方慢性経過や急性で劇症な場合は

見落としがない様

今後の投薬のために診断をつける必要性があります

 

 

続きは後編

 

先日お祭りに行きました

新しい靴を履いていきました

 

じゃりじゃりが嫌だったんでしょうね

さらに靴裏についたキャベツが嫌だったんでしょう

 

靴に乗って甘えてくる可愛いなぁ

甘かったです

キャベツを譲渡されました

犬の肥満細胞腫とパラディア 後編

練馬区 西東京市の動物病院

 

南大泉せき動物病院です

 

指が汚れるのがすごく嫌みたいです

食事中も結構な頻度で指を拭かされます

 

拭かないとテーブルにこすりつけてます

 

南大泉せき動物病院です

 

肥満細胞腫 後編です

 

放射線療法、化学療法、分子標的治療薬

 

どれを使うかは発生してしまった場所によりますし、

本人の性格、治療への許容、飼い主さんの許容によって

これらは変化します

 

化学療法(抗がん剤)は細胞分裂の盛んな細胞

(この場合、腫瘍細胞、骨髄細胞、腸管粘膜の細胞)をターゲットにするため、体の正常な細胞にも効果が表れてしまいます

 

もちろん有害な作用が出ないように薬用量を考慮します

しかし用量が少なすぎれば、腫瘍への効果も少なくなってしまいます

最大許容量をしっかり入れたほうが有効です

 

有害な作用、例えば嘔吐、下痢

白血球の低下から発熱、日和見感染を起こしてしまうと続けるのがつらくなってしまうのも事実です

 

しかし有害な作用を起こした子の方が予後は長い

というお話もあるため、用量を下げすぎるのは禁物です

 

その辺のお話はまたリンパ腫のお話のときに

 

 

ここで出てきた分子標的治療薬

現在犬の肥満細胞腫への承認が取れている「パラディア」という

お薬があります

 

正常な細胞と、腫瘍細胞の遺伝子の違いを狙って攻撃してくれるお薬です

 

そのため化学療法に比べ副反応も少なく、長期投与も視野に入れられます

 

難点は

 

少々お高いこと

 

化学療法のプログラムと違い、”いついつまで投与”の指標がないこと

 

完治を目的とした治療ではないこと

 

 

最近では肥満細胞腫だけではなく、

ほかの腫瘍への使用報告も多くなってきました

 

腫瘍を切除した後の、転移の抑制

切除不可能な腫瘍への緩和、減容積目的

など今までは抗がん剤に頼っていた治療が変わってきています

 

(今までのお話は現時点での治療であり、今後新しい知見が出た際には変わってきますのでご了承ください)

耳の中に寄生虫が!!!!! ミミダニ!

こんにちは☀️
練馬区、西東京市
南大泉せき動物病院
看護師の越智です爆笑
6月下旬にイベントが当たったので
1人で大阪に行ってきました爆笑
夜行バスで向かったのですが
降りたバス停を間違えてしまう
ハプニングもありましたあせる
ホテルに荷物を預けて大阪観光あしあと
イベントが1番の目的なのですが、
美味しいものを食べたくて、
ねぎ焼きやまもとへ行ってみましたラブラブ
そして頼んだものは
すじねぎ!!!
ねぎがたくさん!
こんにゃくの食感も牛すじの味もしっかりしてて
とても美味しかったです爆笑
みなさんも大阪に行ったら是非寄ってみてください!
前置きが長くなってしまいましたが
早速本題に!!
耳を痒がってるとのことで来院した
猫ちゃんがいましたニコ
耳垢の検査をしてみたら…虫めがね

動いてるのがいましたガーンガーン

これはミミヒゼンダニという寄生虫ですバイキンくん
わんちゃんやねこちゃんの
外耳道に寄生し、組織液や表皮を食べて
生活します台風
強い痒みを伴うので
耳を痒がって後肢でかいたり、
黒い耳垢が溜まるのが主な症状だそうですえーん
主に親から子の接触や
野良猫や他に飼ってる子との接触で
感染してしまいますアセアセ
耳のお手入れ不足も
耳垢がたまりやすくなるので
ダニが生息しやすい環境になってしまいますアセアセ
一度寄生してしまうと
自然に良くなることはありませんもやもや
また、ミミヒゼンダニは
繁殖力が強いダニです!!
放置してしまうと
慢性的に外耳炎にかかっている状態になってしまいます笑い泣き
この子はミミヒゼンダニに有効な
レボリューションでしっかり駆虫しました乙女のトキメキ
おうちの子の耳の中も
よくチェックしてあげてくださいねチューリップ
痒がっていたりしたら気軽に相談して下さいニコニコ
その子にあったお薬を処方します流れ星

免疫介在性関節炎

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

ホームさん

あれからステロイド、プレドニゾロンを徐々に減らし(漸減)ました

調子は良さそう

 

ごはんの催促、散歩の催促もちゃんとしてます

 

CRP(炎症反応)再検査

 

高い・・・・・・

5.2 (基準値 <0.7)

 

ちょっと前置きを

 

 

自分の免疫が自分の細胞を攻撃してしまう病気を自己免疫疾患と呼称します

 

赤血球を攻撃すれば、免疫介在性貧血

皮膚の細胞を攻撃すれば天疱瘡やエリテマトーデスなど

 

免疫介在性関節炎は関節を攻撃してしまうことにより起こる病態です

 

さらに大きく分けて

 

・びらん性

・非びらん性

 

に分けられます

 

びらん性で有名なのはリウマチですね

レントゲンで関節の骨、軟骨が変化を起こして見た目に痛そうです

 

非びらん性の場合

関節炎と名前はついていますが、足の跛行(歩き方の異常)がすべての症例で出るわけではなく

なんとなく元気がない、程度の症状のことも多い病気です

 

疑う所見は

軽度発熱(38℃後半から39℃後半)

CRPの上昇

そのほかに異常なし

の不明熱と呼ばれる場合にはちょっと怪しむわけです

 

 

さてホームさん

レントゲン、エコーを再度しました

 

ホームさんは

軽度発熱、CRP上昇はありますが

レントゲン、エコーでは病変を確認できません

そこで

関節液検査となりました

 

 

関節液は正常では細胞も見られず、トロっとしていますが

このときの関節液はサラサラ、少数ながら白血球もみられます

 

ホームの関節はレントゲンで変化がないため

免疫介在性非びらん性関節炎を第一に疑います

 

さらに全身性エリテマトーデスというもっと恐ろしい病気も

鑑別に入りますが抗核抗体検査では陰性でしたのでほっとしました

 

治療はステロイド、プレドニゾロンが中心となります

最初は多めに投与していき、徐々に減らし維持量を決めていきましょう

 

完全に休薬できることもありますが、再発することも多く

維持量を続けることになると思います

 

まだ心配なところもありますが

おうちでは元気いっぱい、よく食べよく寝てよく散歩します

 

病院に来た時のホーム

もやってます
内容あまり変わらないじゃんって言わないビーグルしっぽ熊あたま
インスタはスタッフが頑張って更新中

キャバリア ホームについて

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

キャバリアレスキューから預かっているホームのお話

 

しばらく体調を崩していました

”ほーちゃん体調崩す”

 

 

状態は良くなっています

近くによると出せー、かまえー、なでろー

ほぼ良いと言っていいのです

 

 

私が心配症だからという話もありますが

なんだかんだ愛着がわいているからか

少し心配が残っています

 

いつかは里親に、と思っていましたので出来るだけ肩入れしないように

と触れ合ってきましたが

体調の悪いこの子をみると、そうも言ってられませんでした

 

 

5日くらい前、下痢をして

ごはんへの食いつきが少し落ちていること

夜にすぐ血液検査

 

以前の健康診断でも赤血球がすこし低めでしたが

今回はほかにCRPが上昇していました

 

CRPというのは炎症を示す数値です

体の”どこに”まではわかりませんが

”どこか”に炎症があるのは確かです

 

超音波検査ではおなかの中、腹腔内の脂肪層が白く見えます

 

以前も(ナファモスタットが地球を回す)ブログでお話ししましたが

白い、ということは炎症を疑う所見です

 

膵炎の数値V-LIPは上昇していません

 

単なる下痢、だけでここまであがるかな?、と見落としがないように

X線検査

肺野の気管支が軽度の気管支パターン(気管支炎を疑うような)

 

風邪?的な?

いやいや、動物にいわゆる”風邪”はありません

 

とするとどこかに腫瘍が?

 

肝臓、脾臓、腎臓、前立腺、腹腔内リンパ節、腸管

心臓内、心臓外、胸腔内

 

とくにありませんでした

 

腎臓に一部シスト(液胞)、脾臓に変わらずしこりはありますが

以前からあるもので変化はしていません

 

前述のナファモスタット、抗生剤にも反応し

数値は下がり、本人の臨床症状も1日ほどで良くなってくれました

 

いつもの表情に戻っています

 

心配な点

 

今回の治療中にリンの数値が若干上昇、BUN(血液尿素窒素)の上昇がみられました

腎臓の影響からも上昇しますが、筋肉などの損耗からも上昇します

ただ、腎機能に予備能(正常に保とうとする力)がきちんとあれば

よっぽどでなければ上昇しにくいです

 

BUNは循環からも変化します

心臓循環が低下すると、腎臓への血液も減りBUNも上昇します

 

また腫瘍性、上皮小体機能からも上下しますが

カルシウムの上下を伴っていないことから、違う可能性が高いです

 

軽度の貧血ですが、ホームは預かったときから低めでした

甲状腺機能低下症によるものと考えています

また腎機能低下からも腎性の貧血が進むことも知られています

 

慢性の炎症からもACD(炎症性の貧血)が進むことがあり

今回は病態が相互に影響したものと推測しました

 

ぐんぐん減るようであれば、骨髄検査も考慮しますが落ち着いており

末梢血液に怪しい細胞も変化もありません

 

あとはCRPが下がったとはいえ、下がり方が少々遅いことでしょうか

 

下痢、気管支炎、腹腔の炎症 CRP上昇

血液循環、腎臓流入量の低下からBUNとリンの軽度上昇

 

が可能性としては高いでしょう

 

治療への反応は良かったです

 

たぶん心配性なだけ

 

ちょっと難しい単語、お話もありましたが

他のキャバリアさん、預かりさんのためにもそのままの言葉で書きます

 

今後は腎機能の低下を考え

腎臓用のごはん

リン、窒素の吸着剤

を追加

ピモベンダン(心臓のお薬)の増量

で対応していきます

キャバリアについて

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

特にアナウンスはしておりませんでしたが

キャバリアレスキューのホームを預かっております

当院というか自宅で

なぜならばキャバリアが好きだから

 

キャバリアレスキューの活動はこちらから

キャバレスfacebook

キャバレス東京

レスキューの活動を少しだけお手伝いしています

 

 

当院のロゴマーク

 

これキャバリアとご存知でしたか?

 

以前ブログにもちらっとだけ登場しましたが

キャバリアファンです

 

実に愛すべき犬種です

 

おとなしく

人に優しい

犬にも優しい(たまに男を見せることもありますが)

 

ずっとキャバリアと暮らしたい

 

そう思わせてくれる子たちです

 

確かに心臓や外耳炎、骨格、腫瘍

病気と付き合っていかなければならないことも多いです

 

それでもキャバリアが好きです

 

ホームはうちに来た当初、

尻尾はぶんぶん振ってくれましたが

環境が変わったことによる精神的なことから

ごはんも食べず、心配させられました

 

 

現状、心臓や、甲状腺、眼、耳

問題はありますが

今ではごはんをもりもり食べ、散歩を要求し、甘えてくれています

 

願わくば幸せに感じてくれていると嬉しいです

 

ほっぺの皮膚炎?名は歯根膿瘍

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

先日テーブルの下から干からびたイクラが出てきました

南大泉せき動物病院です

 

ほっぺに皮膚炎?

右目の下にただれがあります。

 

 

ぱっと見、皮膚炎?かなと思いますが原因は歯にあります。

 

こちらの図がわかりやすいですね。

上顎の第四前臼歯

 

 

一番大きい歯の根っこが眼の真下

ちょうど皮膚炎の部分にあたりますね。

 

眼の下が腫れてきた場合、まず歯根からの炎症を疑います。

 

歯科手術の様子です。

 

 

 

 

ざっとスケーリングをすると

 

 

上記の歯が欠けて歯髄(歯の神経)が露出しているのが確認できました

 

歯髄から歯根への炎症、感染が原因です。

 

ここの歯は根っこが3本あります。

無理に抜けば歯が割れて、歯根が残ってしまうため

 

3本にドリルで分割してからの抜歯となります。

縫合して終了です。

 

 

眼の真下が腫れることもあり

眼の疾患だと思われ、目薬を出されていたなんて笑えない話も聞きました

お気を付けください。

犬の肥満細胞腫とパラディア 中編

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

さて肥満細胞腫について 中編です

 

切除計画を考えましょう

 

この肥満細胞腫

見えているところぎりぎりで切除することはできません

広めにとらないと再発してしまいます

 

俗にタコの足とよばれるように

見える範囲以上に細胞が広がっています

 

各論ありますが、高悪性度であれば

最低でも半径 2 ㎝の切除範囲が必要です

 

悪性度が低い肥満細胞腫ならばもっと範囲が少なくても

再発する可能性は少ないのですが

 

「取ってみないと悪性度がわからない

ギリギリで取ってみたら高悪性度→

再発→再手術→皮膚に余裕がない→完全切除できない」

は回避したいです

 

・取れるのであれば多めに

・取りきれなかったときのリカバリー方法

を事前に考えておきましょう

 

 

背中にできた場合は皮膚に余裕があるので比較的容易に切除できます

 

前肢や後肢、肛門回りなどにできた場合、皮膚をそのまま寄せることはできませんので

 

皮弁、という方法を用います

 

こんな感じや

こんな感じ

を駆使し

皮膚を縫合します

 

・高悪性度

・多発性

・内臓性

・切除不可

であった場合は

放射線療法、化学療法、分子標的治療薬が選択肢となります

取りきれーんといった場合ですね

 

続きは後編

 

犬の肥満細胞腫とパラディア 前編

練馬区、西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

今回もお見苦しい図にお付き合い願います

 

さて肥満細胞腫

聞いたことがある方も多いと思います

 

肥満細胞腫とは皮膚にできる悪性の腫瘍です

 

「犬の」としたのは以前お話しした「猫の」肥満細胞腫とは

少々腫瘍の動きが違うからです

 

猫では皮膚に単発でできるものについては

低グレードで悪性度が低いことも多いです

しかし内蔵にできるタイプの肥満細胞腫も多く、

内蔵型の予後は要注意です

 

犬の場合、皮膚型が多く単発性のものでは手術で取り切れれば、

予後が安定していることが多いです

 

犬種では

ラブラドール、ゴールデンレトリーバー、パグに多いです

 

これらの犬種、特にパグでは若齢時から多発するタイプもありますが

それぞれ切除できれば予後は良いことが多いです

 

予後が悪いポイントは

・多発

・内蔵型

・大きいもの

・組織学的高グレード

・粘膜移行部に発生(包皮、爪床、口腔など)

・リンパ節や遠隔転移

 

”皮膚”に”単発”で”転移の無いもの”は切除で良好なことが多いです

 

皮膚のできものを針で刺し細胞を診ます(針生検細胞診)

するとこんな感じ

細胞の周りに粒粒が見えますか?

 

 

”細胞”が太って見えるから”肥満”細胞腫です

その子が太っているから・・・・・・ではありませんよ

肥満細胞腫の厄介なところは、針生検では悪性度が計れないところ

切除して、ホルマリンにつけて病理診断に出さなければ、悪性度がわかりません

 

そこでまず肝臓、脾臓、リンパ節に転移がないことを確認

 

切除計画を考えます

 

続きは自戒!もとい次回!

異物誤食  限りなく透明に近いプラスチック 

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

レントゲンにプラスチックは写るのか

写ることもあれば写らないこともある

 

プラスチック単独ではレントゲンには写ります

体内に入ってしまうと、まず写りません

 

特に胃の中にごはんが入っているとほとんどわかりません

 

レントゲン写真では白いものを透過性が低い(不透過性が高い)

黒いものを透過性が高い(不透過性が低い)と表現します

 

不透過性が高いもの

金属、石、骨

 

透過性が高いもの

空気

 

中間

水、脂肪、筋肉

 

これらの白黒のコントラストで判断しています

プラスチックの場合こんな感じです

残念ながらほぼ写らないのです

 

 

分かることもあれば分からないこともあるんです

 

誤食してしまった際には

まず異物のサイズ、質、細かく食べたのかをお聞きします

 

少しでもレントゲンに写りそうであれば撮影します

 

目的は、レントゲンで異物の位置を特定すること

特定できなくとも異物によって引き起こされた体の異常を察知すること

 

レントゲンに写らなかった場合

本人の体格、異物のサイズ、異物の性質によって

 

①吐かせる

②このままうんちに出るのを待つ

③内視鏡

④胃切開

 

となるわけです

 

①吐いて異物が出てくればすっきりですが

 

異物が鋭利なもの、サイズが大きいもの、電池、有機溶媒

 

などの場合は食道を傷つけてしまう可能性が高く採用できません

食道が裂けてしまうことは本当に怖いです

胸部の手術になりますし、食道自体癒合が遅く縫合も困難です

 

②異物が小さく、本人の体格も大きい場合うんちで出るのを待つ

も重要な選択肢です

 

②の怖いところは鋭利なもの、詰まりやすい物であった場合

腸閉塞を起こす可能性、腸穿孔を起こす可能性です

 

こまかく砕いて食べてしまったのであれば、結構出ることが多いです

詰まりやすいのは、紙製品の丸まったもの、ガーゼなど

植物の種とかは小さくても注意が必要です

 

③麻酔が必要ですが、胃内を確認できるため有用です

 

難点は胃内にごはんが多量にあると、適用できません

内視鏡は胃を空気で膨らませて視野を確保しますが

ごはんが入っていると、カメラの視野が確保できず見つけられません

 

異物が大きすぎても胃の入り口、食道を通過できず採取することができません

 

④胃を開いて異物を確認、摘出

確かに確実ではありますが、

便で排出できる可能性、吐かせられる可能性がある場合には

侵襲性が高すぎます

 

じゃどうせレントゲン撮ってもわからないんじゃない?

うんちで出るのを待つなら撮らなくても一緒じゃないの?

 

いえそうではありません

 

これらの選択肢を選ぶうえで重要な検査です

 

まずは動物へのダメージが少ない検査(侵襲性が低い)

レントゲン、エコーをおこなうわけです

 

異物の性質、異物の場所、本人の体格、腸管の太さ、食道の太さ

細かく食べているのか、レントゲンに写るくらいまだ大きいのか

現時点で異物による体の変化が起こっている可能性

 

選択肢を選ぶうえで重要な要素がレントゲンではわかります

 

無駄ではないですよ

 

動物たちに負担の少ない、侵襲性の低い検査で情報が得られるのであればまずやってあげてください

 

①②③④

を提案したうえで②を選択される場合も多いでしょう

 

レントゲン撮って待つだけだった

何もしてくれなかった

そうは思わないでください

 

うんちで出るのを待つ

検査も無駄ではありません

②を選ぶというための検査です

 

なにもしなかったわけではありません

可能性を考えて動物たちのために

②を選んだということです

 

②を選ぶことで

飼い主さんの理解が得られず満足にならないこともあるかもしれません

説明が足りなければすみません

 

でも

うんちに出て、あぁ、良かったと思えれば

 

願わくば動物たちの幸せになればまぁいいかえーん