練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

キャバリアレスキューから預かっているホームのお話

 

しばらく体調を崩していました

”ほーちゃん体調崩す”

 

 

状態は良くなっています

近くによると出せー、かまえー、なでろー

ほぼ良いと言っていいのです

 

 

私が心配症だからという話もありますが

なんだかんだ愛着がわいているからか

少し心配が残っています

 

いつかは里親に、と思っていましたので出来るだけ肩入れしないように

と触れ合ってきましたが

体調の悪いこの子をみると、そうも言ってられませんでした

 

 

5日くらい前、下痢をして

ごはんへの食いつきが少し落ちていること

夜にすぐ血液検査

 

以前の健康診断でも赤血球がすこし低めでしたが

今回はほかにCRPが上昇していました

 

CRPというのは炎症を示す数値です

体の”どこに”まではわかりませんが

”どこか”に炎症があるのは確かです

 

超音波検査ではおなかの中、腹腔内の脂肪層が白く見えます

 

以前も(ナファモスタットが地球を回す)ブログでお話ししましたが

白い、ということは炎症を疑う所見です

 

膵炎の数値V-LIPは上昇していません

 

単なる下痢、だけでここまであがるかな?、と見落としがないように

X線検査

肺野の気管支が軽度の気管支パターン(気管支炎を疑うような)

 

風邪?的な?

いやいや、動物にいわゆる”風邪”はありません

 

とするとどこかに腫瘍が?

 

肝臓、脾臓、腎臓、前立腺、腹腔内リンパ節、腸管

心臓内、心臓外、胸腔内

 

とくにありませんでした

 

腎臓に一部シスト(液胞)、脾臓に変わらずしこりはありますが

以前からあるもので変化はしていません

 

前述のナファモスタット、抗生剤にも反応し

数値は下がり、本人の臨床症状も1日ほどで良くなってくれました

 

いつもの表情に戻っています

 

心配な点

 

今回の治療中にリンの数値が若干上昇、BUN(血液尿素窒素)の上昇がみられました

腎臓の影響からも上昇しますが、筋肉などの損耗からも上昇します

ただ、腎機能に予備能(正常に保とうとする力)がきちんとあれば

よっぽどでなければ上昇しにくいです

 

BUNは循環からも変化します

心臓循環が低下すると、腎臓への血液も減りBUNも上昇します

 

また腫瘍性、上皮小体機能からも上下しますが

カルシウムの上下を伴っていないことから、違う可能性が高いです

 

軽度の貧血ですが、ホームは預かったときから低めでした

甲状腺機能低下症によるものと考えています

また腎機能低下からも腎性の貧血が進むことも知られています

 

慢性の炎症からもACD(炎症性の貧血)が進むことがあり

今回は病態が相互に影響したものと推測しました

 

ぐんぐん減るようであれば、骨髄検査も考慮しますが落ち着いており

末梢血液に怪しい細胞も変化もありません

 

あとはCRPが下がったとはいえ、下がり方が少々遅いことでしょうか

 

下痢、気管支炎、腹腔の炎症 CRP上昇

血液循環、腎臓流入量の低下からBUNとリンの軽度上昇

 

が可能性としては高いでしょう

 

治療への反応は良かったです

 

たぶん心配性なだけ

 

ちょっと難しい単語、お話もありましたが

他のキャバリアさん、預かりさんのためにもそのままの言葉で書きます

 

今後は腎機能の低下を考え

腎臓用のごはん

リン、窒素の吸着剤

を追加

ピモベンダン(心臓のお薬)の増量

で対応していきます

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。