練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。
昔、ARMSという漫画がありました、え?知らない?
力が欲しいか、欲しいのなら くれてやる!って。え?知らない?
調べました、ARMS(wikipedia)1997年連載開始、に、にじゅうねん(白目)
さてここから述べるのは
一獣医師としての意見であり、総意ではありませんし、出典、脚注もありません。
本当にぼやきです。ご了承ください。
政治の問題はさておき
地方獣医師が足りていないから、獣医学部を新設して母数を増やそうと言う論法。
分母を増やしても仕方ないのです、小動物臨床と産業動物、公衆衛生の比率、または都市部と地方の比率を変えることが必要です。
獣医師の数は現在39000人程、そのうち獣医事に従事する数は35000人(獣医師の届出数)
小動物臨床医は15000人
産業動物医が1500人
ざっくり残り20000人が県職員や自治体で公衆衛生、家畜保健衛生所にお勤めになります。
このうち足りていない!状況なのは圧倒的に地方に勤める獣医師です。
公務員はお給料も、福利厚生もいいんじゃないの?と思われますが、伝染病が発生した日には休みなんてなく、
夜中も早朝も西へ東へ伝染病を治めるために奔走します。
病気を広げないために動物たちを殺処分することも。
疫病を防ぐ最前線に立たされます。
そこまで頑張っても公務員獣医師は給与高くなりません。
医師や薬剤師と同じように6年間大学に通っても給与体系が違うため医師、薬剤師と比べるとすごく少ないです。
上がりどまりがあるといいますか、生涯収入に雲泥の差があります。
その公務員の方々も地方ではなく、やはり大都市部に人気が集中します。
私もそうでしたが、出身以外の土地勘のない地方へ就職するってなかなか勇気がいります。
すんごい魅力があるなら別ですが。
そして小動物臨床も都市部は飽和状態です。
小動物臨床から産業動物、公衆衛生へ
都市部から地方へ獣医師の比率を移す必要があります。
これを是正するには地方にすんごい魅力をつけなければなりません。
すんごい魅力って何かって??え?ラーメン?
地元B級グルメ?大自然?
いやそれもいいですが、みなさんそれだけで地元を離れて初めて行く土地へ就職しますか?しないですよね。
そこはお給料しかないと思います。
獣医学部新設のお金を地方自治体獣医師の福利厚生、給与に当てて希望者を増やしてはどうでしょう。
ちなみに獣医大の教員についてもどこから集めるんですか?
今でさえ各大学教員不足と言っているのに。。。
1学年100人の大学で教員数は70人が適正と言われていますが、現状各大学50人程です。
新設大学の教員はどこに?
どこかで小動物臨床の給与が高い!と言う文章を読みました。
開業医の”収入”は5,000万円以上が3割?
そんな世界があるのなら見てみたい。
病院の年間”売上”が5,000万円。
売上が5,000万円だと院長の年間”収入”はやっと800万円あるかです。
収入と売上の違い。
私たちの給与は
卒業して
1年目月給22万円、残業代?え?なにそれ食べられる?賞与?ないない。年収280万円。
3年目月給25万円、残業代?5000円/月 もらえたよ!賞与?一か月出たよ!年収350万円。
休み?週1日。多くなって週1.5日。
獣医師の平均年収600万?これ開業医も勤務医もごっちゃになっての平均ですから。ほんとピンキリですよ。
だれか中央値で出してくれませんか?たぶん400万くらいになるはず。
労働時間はすっごく長いです、重症の子がいれば夜間もつきっきり、緊急があれば夜もオペ。
で残業代は5000円/月
最低時給で同じ時間働いたほうが給与多いと思います。
時給に直すと600円くらいになりました。
じゃなんで獣医やってるの?
やりたいから。としか。
それで
小動物臨床医が増えれば、価格競争が起きて動物病院の治療費が適正価格になる、そう言ってましたっけ?
動物病院が増える→各病院の収益が減る→設備投資ができない→入院設備、検査設備を削る→人も雇用できない→
町の病院で入院検査の医療ができない→病院では予防、ワクチンだけ→
重症、入院、手術は地域の大きな病院のみでしか行えない→いままで各病院で出来ていた入院検査治療費は高くなる
大きな病院ほど、設備投資、人件費をかけていますので治療費はその分高くなります。
そして通院は車で一時間かかると。
それって動物たちのためになるのかな。
町の動物病院は40年前の治療にさかのぼり、入院手術を伴うものは高度医療センターで。
今まで町の動物病院で5万円で行っていたものは20万円に、10万円の手術代が40万円に。
そこまで考えてくれてますか?
まとめ
現状を理解しないなら政治に利用しないで。
獣医師の偏りをただすにはどうしたらいいのか、学部を増やせばいいってことじゃないでしょ!
て議論してほしい。
現場は置いてけぼり。
言い訳や説明が必要なのは、物事に対して後ろめたさがある場合だ。(重力ピエロより)
どうぶつ業界がもっと良くなっていきますように。