カテゴリー: 動物の病気について

パラディアについて

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

以前パラディアについてお話ししました

犬の肥満細胞腫とパラディア

 

「犬の肥満細胞腫」に対して承認を取ってはいますが

他の腫瘍に対して使用されることも増えてきました

 

とご報告いたしました

 

 

今回の獣医がん学会での症例報告で上皮向性T細胞型リンパ腫への治療効果の報告がありました

 

今までの認識では

固形がんへの使用、乳腺腫瘍や移行上皮がん、扁平上皮癌などの

報告が多く見受けられました

 

NSAIDs(非ステロイド系)やカルボプラチン(抗がん剤)との併用が使用されてきました

 

そのほかはやはり肺腺癌、平滑筋肉腫などへの報告が多く

パラディアの効果が期待されている様子が見受けられます

 

パラディア、もちろん副作用もありますが化学療法に比べると

すごく少ない印象です

 

化学療法いわゆる抗がん剤では、毎週の通院、血管の確保

骨髄抑制による白血球低下、費用の点など

飼い主さん、動物にも負担が大きいこともあります

 

化学療法、緩和治療のみのその間を埋めるような使用

 

化学療法との併用によりさらなる効果にも

期待が持てそうな内容でした

 

 

なんだかまとまりのない記事になってしまいましたが

 

子宮蓄膿症 子宮の画像あり注意してください

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

子宮蓄膿症、最近手術が続きましたのでお話します

 

文字通り子宮に膿がたまってしまう病気です

 

 

適切な時期に適切な避妊手術を行えば発生しません

 

中高齢、未経産に多く

発情出血後1か月から2か月に多く発症します

 

発情出血後、黄体ホルモン(プロジェステロン)の影響で

子宮内は感染が成立しやすくなります

 

子宮内で細菌が繁殖し、膿がたまることで発症します

 

症状は

食欲不振、下痢、嘔吐などの特定の症状ではないことが多いです

飲水量が増える、多飲多尿がみられる子もいます

 

陰部からおりものが見られれば飼い主さんもすぐに気づけると思うのですが

閉鎖型といっておりものがみられないことも多く

しかも閉鎖型の方が重篤化しやすいです

 

膿がたまった子宮を摘出して終わり?

ではなく

外科的にも内科的にもエマージェンシーな疾患です

 

子宮内の細菌からは内毒素(エンドトキシン)が放出され

全身に悪影響を及ぼします

 

腎臓へダメージを与えるため

術前に腎数値(BUN Cre)が高い子の予後は厳しいことが予想されます

 

手術は卵巣、子宮を適切に摘出します

子宮はパンパンに腫れていて、ひどいときには膿が腹腔内に漏れているもあります

 

 

点滴もエマージェンシーを予想して昇圧剤や鎮痛薬

 

緊急薬まであれやこれやと安全策を取りながら用意しながらです

 

さて取り出した子宮です

 

 

 

ここまで大きいことも稀ですが

 

触ると今にも破裂しそうなくらいパンパンですね

 

慎重に卵巣動静脈、子宮間膜、子宮動静脈、子宮頚管を処理して

閉腹します

 

術後は炎症を防ぐ点滴、抗生剤を使用しエンドトキシンショックを防ぎます

点滴って栄養入ってるの?問題 

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です。

 

点滴に栄養は入っているんですか?

 

よく聞かれるのですが、基本的にはカロリー、エネルギーは入れられないのです

濃度の問題だったり、薬液相互の問題だったりいろいろありますが

 

 

では点滴とは

体液バランスを考慮した点滴だったり、

炎症を抑えるものだったり

吐き気を止めるものだったり、

血圧を下げたり、上げたり

病気により点滴する目的は様々です

 

 

が、基本的にカロリーは入ってません

 

 

栄養(エネルギー、カロリー)を体に入れる方法

 

 

経腸栄養

経鼻カテーテル(鼻から食道)

咽頭食道チューブ(首の脇から食道へカテーテルを入れる)

胃ろう(胃に直接カテーテル)

経腸カテーテル(腸に直接カテーテル)

静脈栄養点滴

末梢静脈(腕、足にラインを確保)

中心静脈カテーテル(頚静脈から心臓付近までラインを入れる)

それぞれいい点、悪い点があります

 

経鼻カテーテル

協力的な子であれば全身麻酔を必要としない

容易に設置可能

くしゃみなどで抜けてしまうこと

カテーテルが細く、液状のサラっとしたものしか流せない

必須カロリーを入れるには大量に液剤が必要

 

 

咽頭食道チューブ

太めのチューブが入れられるため流動状ドロドロのものでも入れられる

必須カロリーを摂取可能

全身麻酔が必要

手技が用意、特別な設備は不要

 

 

胃ろう

太めのチューブが(以下略

必須カロリーを(以下略

全身麻酔が必要

内視鏡がないと侵襲性が高い

早期にすっぽ抜けると胃内容がお腹に漏れる

 

 

経腸カテーテル

口、食道、胃を経由せず腸から栄養が入れられる

液状でないと入れられない

全身麻酔が必要

すっぽ抜けると大変

胃、十二指腸の消化酵素がないため消化不良を起こしがち

 

 

末梢静脈栄養

全身麻酔が不要

飲み込む力がない、意識がない、などでも投与可能

血管が細く高栄養は血管炎、閉塞、血栓などの問題が多すぎる

必須カロリーを入れようと思うと、すっごい濃度を流し込まないとダメ

肝腎心障害や膵炎などが悪化する可能性

 

 

中心静脈栄養

末梢より濃い輸液が入れられる

全身麻酔が必要

経静脈の切開が必要

 

 

ということで

 

栄養補助が治療になる病気→肝リピドーシスなど

経鼻カテーテル、食道チューブを選択

 

術後自力での摂食に問題があるが、比較的早期に回復しそう

経鼻カテーテル、食道チューブを選択

 

口腔、食道の手術で頭部に問題がある場合

もしくは長期栄養補助が必要

胃ろうチューブ

 

胃の手術などで胃が経由できずしぶしぶ

経腸カテーテル

 

 

こんな形で選択します

 

 

腸が使える場合は腸を使え!です

 

基本的に腸から栄養が取れるなら腸から吸収させるべきです

腸を使わないでいると腸粘膜のいぼいぼ(絨毛)が委縮してちいさくなってしまい、回復がどんどん遅れてしまいます

術後、または治療により回復することが見込まれる場合に適応と考えます

 

 

食べないから栄養点滴してほしい

とその気持ちもわかるのですが

 

 

まずは「なぜ食べないか」を考え

「治療することで食べられるようになる」ようにしていきましょう

 

 

静脈栄養点滴は?

ほぼ選択しません

 

 

腸管が使えない状況、意識がない状況なら選択しますが

 

上述の通り経腸栄養に勝るものはありません

武蔵関のボロ市です

それなりのお金を持って行ったはずが帰るころには、よくわからないおもちゃにすべて変わっていました、それ壊れてるやんけ

それでも景品をしっかりと吟味して選んでいましたね

シャーピンとお好み焼きくらいしか食べてません

さすがボロ市、でも笑顔がプライスレス

 

 

 

 

恒例の初詣、とはいえ毎月お参りしてます
1月1日は劇混みですが日にちをずらして時間が早ければ空いてることを学びました
これで風邪ひかない
何度もお賽銭をせがまれそれなりの金額を賽銭しました
コイン入れるの楽しいよね、でもガチャガチャじゃないよ
もしかしてご利益ガチャ?

 

断定することの難しさと必要性 後編

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

後編でございます

 

断定しなければならないものの一例

 

悪性リンパ腫、自己免疫疾患

 

双方治療にはステロイド、プレドニゾロンを使用します

 

診断後に

リンパ腫:化学療法

自己免疫疾患:免疫抑制

 

異なる治療を行います

 

 

腸管に発生した場合、似通った症状がでることが多く

下痢、低タンパク、嘔吐、腸炎のサイン

この二つを症状から鑑別することが困難です

 

試験的にステロイドの治療を行うと一時的に良くなったように見えます

 

しかし

悪性リンパ腫の場合ステロイドを初期に投与していると

以降の化学療法、抗がん剤が効きにくくなってしまうことが知られています

年齢、犬種などからこれらが強く疑われる場合は

試験的治療の前に積極的な検査をお勧めします

 

 

では最終的にどう診断するか

開腹下で腸管を一部切り取り、病理診断をすることでほぼ確定できますが

 

開腹手術を躊躇われることも多いです

それもよく分かるのですが

 

それ以降の治療が変わってくることを考えると

腸生検も考慮しなくてはなりません

 

開腹よりも侵襲性が低い内視鏡(胃カメラ)で診断できるかというと・・・・・・

腫瘍が粘膜よりも深い組織でできている場合は

診断できないこともあり結果の解釈には注意が必要です

 

 

わかめ3.5倍ラーメン食べました

案の定おなか壊しました

最近のホーム事情

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

なかなか心配させてくれます

腎数値とともにリンも上がりきってしまい

それに伴い赤血球、ヘモグロビンも下がり。。。

 

プレドニゾロンを減量すれば、

CRP(炎症タンパク)があがり。。。

 

あれを足して、これを引いて

維持量を決めていけるところまできました

 

皮下点滴を毎日行っています

 

心臓への影響も少なからずあるため

腎数値を下げられるくらいの量は入れられません

 

現状ホームの心臓はエコー検査で悪化はなく、頑張ってくれています

 

全薬から出ているアゾディルも加えております

 

 

 

心腎連関、という病態があります

 

ちょっと語弊がありますが

心臓のための治療と腎臓のための治療が相反することが多いのです

 

腎臓のためには点滴をして血流を増やし、腎血流量(糸球体濾過量GFR)を増加させます

しかし血液量が増えることで心臓がいっぱいいっぱいになり肺水腫

 

心臓を楽させたいので血圧を下げ、利尿薬を用いれば

血液量が減り、腎血流量が減り腎数値が上がる(高窒素血症)

 

腎臓病が進むと、腎性貧血、さらに血流が減る

 

ぐるぐると悪循環へと陥ります

 

それぞれに”いい塩梅”で多すぎず、少なすぎずの治療を展開せねばなりません

 

ホームはここに免疫介在性の病気も加わります

 

心配は尽きません

 

すごく良いわけではありません

 

いつものようにごはんを食べて、散歩して

そんな”いつも”を何事もなく過ごせるように

 

頭の中で体の中を想像し、予想しお薬を組み立ててます

 

 

 

家からうちわがなくなりました

2つあったはずですが

気付くとこんなんに

 

※犯人はホームではありません
上手にはがします

子供うちわはがし大会に出た際には応援をお願いします

 

断定することの難しさと必要性 前編

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

例えばよくあるお話

今日から下痢、若齢 の子

食欲はあるのか、嘔吐も伴うのかの稟告を取り
検査をどこまで行うか決めていきます

食欲もあり、嘔吐もなしの場合

一過性の下痢を第一に考えます

原因は何ですか?
食べすぎであったり、食事の変更であったり、ストレス性であったり
断定はちょっと困難です

もちろん慢性の下痢であれば
原因を探るため、見落とさないために検査範囲を広げてみます

 

例えばよくあるお話

どこか痛がる、若齢、食欲元気問題なし

 

動物たちはここが痛い!と言ってくれないので触診、視診してみます

うーん、どこ触っても痛がらない

 

こんなとき多いのは脇を痛めたり(神経なのか筋膜なのか)

可能性は低くなるけど頸椎、腰椎の痛み

 

レントゲン検査で明らかな異常はみられません

 

 

”主観”である痛み

「ここが痛い」と言ってくれない動物たち

 

診断を確定するには客観的な評価が必要です

客観的な評価とは検査の異常

 

としたら追加で麻酔下CT検査

どこかに骨の変化がないか、関節の変化がないか

どこかに腫瘍が出来ていないか

痛みの場所を特定できていないため全身くまなくの必要があります

 

おそらくそれでも異常はみられないでしょう

 

みられない、ということは病気を除外できるので大切なことです

しかしながら若齢の子にいきなり侵襲性の高い検査をする必要があるのか

 

と考えますのでまずは痛み止め

非ステロイドの痛み止めに反応してくれました

 

となるとやはり痛めたのかなぁとなるわけです

 

反応しなければ、次の検査に進みましょう

 

もちろん高齢であれば慢性の疼痛を患っていることや

腫瘍や免疫疾患なども考慮しなければなりません

 

 

 

診断名をつけるということは客観的な評価が必要です

病理診断や、血液検査、ホルモン検査

レントゲン検査やCT検査

軽症で一過性の場合

これらの検査に引っ掛からないことが多く

 

逆に言えば

これらの検査で変化があるということは軽症でないことになります

 

症状が一過性の場合、対症治療で治ることが多く

原因を断定することよりも治療を優先します

 

診断まで一気につけることもありますが

費用と動物たちの負担を考えると

状況によっては診断的治療が有効なことも多いです

 

一方慢性経過や急性で劇症な場合は

見落としがない様

今後の投薬のために診断をつける必要性があります

 

 

続きは後編

 

先日お祭りに行きました

新しい靴を履いていきました

 

じゃりじゃりが嫌だったんでしょうね

さらに靴裏についたキャベツが嫌だったんでしょう

 

靴に乗って甘えてくる可愛いなぁ

甘かったです

キャベツを譲渡されました

犬の肥満細胞腫とパラディア 後編

練馬区 西東京市の動物病院

 

南大泉せき動物病院です

 

指が汚れるのがすごく嫌みたいです

食事中も結構な頻度で指を拭かされます

 

拭かないとテーブルにこすりつけてます

 

南大泉せき動物病院です

 

肥満細胞腫 後編です

 

放射線療法、化学療法、分子標的治療薬

 

どれを使うかは発生してしまった場所によりますし、

本人の性格、治療への許容、飼い主さんの許容によって

これらは変化します

 

化学療法(抗がん剤)は細胞分裂の盛んな細胞

(この場合、腫瘍細胞、骨髄細胞、腸管粘膜の細胞)をターゲットにするため、体の正常な細胞にも効果が表れてしまいます

 

もちろん有害な作用が出ないように薬用量を考慮します

しかし用量が少なすぎれば、腫瘍への効果も少なくなってしまいます

最大許容量をしっかり入れたほうが有効です

 

有害な作用、例えば嘔吐、下痢

白血球の低下から発熱、日和見感染を起こしてしまうと続けるのがつらくなってしまうのも事実です

 

しかし有害な作用を起こした子の方が予後は長い

というお話もあるため、用量を下げすぎるのは禁物です

 

その辺のお話はまたリンパ腫のお話のときに

 

 

ここで出てきた分子標的治療薬

現在犬の肥満細胞腫への承認が取れている「パラディア」という

お薬があります

 

正常な細胞と、腫瘍細胞の遺伝子の違いを狙って攻撃してくれるお薬です

 

そのため化学療法に比べ副反応も少なく、長期投与も視野に入れられます

 

難点は

 

少々お高いこと

 

化学療法のプログラムと違い、”いついつまで投与”の指標がないこと

 

完治を目的とした治療ではないこと

 

 

最近では肥満細胞腫だけではなく、

ほかの腫瘍への使用報告も多くなってきました

 

腫瘍を切除した後の、転移の抑制

切除不可能な腫瘍への緩和、減容積目的

など今までは抗がん剤に頼っていた治療が変わってきています

 

(今までのお話は現時点での治療であり、今後新しい知見が出た際には変わってきますのでご了承ください)

耳の中に寄生虫が!!!!! ミミダニ!

こんにちは☀️
練馬区、西東京市
南大泉せき動物病院
看護師の越智です爆笑
6月下旬にイベントが当たったので
1人で大阪に行ってきました爆笑
夜行バスで向かったのですが
降りたバス停を間違えてしまう
ハプニングもありましたあせる
ホテルに荷物を預けて大阪観光あしあと
イベントが1番の目的なのですが、
美味しいものを食べたくて、
ねぎ焼きやまもとへ行ってみましたラブラブ
そして頼んだものは
すじねぎ!!!
ねぎがたくさん!
こんにゃくの食感も牛すじの味もしっかりしてて
とても美味しかったです爆笑
みなさんも大阪に行ったら是非寄ってみてください!
前置きが長くなってしまいましたが
早速本題に!!
耳を痒がってるとのことで来院した
猫ちゃんがいましたニコ
耳垢の検査をしてみたら…虫めがね

動いてるのがいましたガーンガーン

これはミミヒゼンダニという寄生虫ですバイキンくん
わんちゃんやねこちゃんの
外耳道に寄生し、組織液や表皮を食べて
生活します台風
強い痒みを伴うので
耳を痒がって後肢でかいたり、
黒い耳垢が溜まるのが主な症状だそうですえーん
主に親から子の接触や
野良猫や他に飼ってる子との接触で
感染してしまいますアセアセ
耳のお手入れ不足も
耳垢がたまりやすくなるので
ダニが生息しやすい環境になってしまいますアセアセ
一度寄生してしまうと
自然に良くなることはありませんもやもや
また、ミミヒゼンダニは
繁殖力が強いダニです!!
放置してしまうと
慢性的に外耳炎にかかっている状態になってしまいます笑い泣き
この子はミミヒゼンダニに有効な
レボリューションでしっかり駆虫しました乙女のトキメキ
おうちの子の耳の中も
よくチェックしてあげてくださいねチューリップ
痒がっていたりしたら気軽に相談して下さいニコニコ
その子にあったお薬を処方します流れ星

免疫介在性関節炎

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

ホームさん

あれからステロイド、プレドニゾロンを徐々に減らし(漸減)ました

調子は良さそう

 

ごはんの催促、散歩の催促もちゃんとしてます

 

CRP(炎症反応)再検査

 

高い・・・・・・

5.2 (基準値 <0.7)

 

ちょっと前置きを

 

 

自分の免疫が自分の細胞を攻撃してしまう病気を自己免疫疾患と呼称します

 

赤血球を攻撃すれば、免疫介在性貧血

皮膚の細胞を攻撃すれば天疱瘡やエリテマトーデスなど

 

免疫介在性関節炎は関節を攻撃してしまうことにより起こる病態です

 

さらに大きく分けて

 

・びらん性

・非びらん性

 

に分けられます

 

びらん性で有名なのはリウマチですね

レントゲンで関節の骨、軟骨が変化を起こして見た目に痛そうです

 

非びらん性の場合

関節炎と名前はついていますが、足の跛行(歩き方の異常)がすべての症例で出るわけではなく

なんとなく元気がない、程度の症状のことも多い病気です

 

疑う所見は

軽度発熱(38℃後半から39℃後半)

CRPの上昇

そのほかに異常なし

の不明熱と呼ばれる場合にはちょっと怪しむわけです

 

 

さてホームさん

レントゲン、エコーを再度しました

 

ホームさんは

軽度発熱、CRP上昇はありますが

レントゲン、エコーでは病変を確認できません

そこで

関節液検査となりました

 

 

関節液は正常では細胞も見られず、トロっとしていますが

このときの関節液はサラサラ、少数ながら白血球もみられます

 

ホームの関節はレントゲンで変化がないため

免疫介在性非びらん性関節炎を第一に疑います

 

さらに全身性エリテマトーデスというもっと恐ろしい病気も

鑑別に入りますが抗核抗体検査では陰性でしたのでほっとしました

 

治療はステロイド、プレドニゾロンが中心となります

最初は多めに投与していき、徐々に減らし維持量を決めていきましょう

 

完全に休薬できることもありますが、再発することも多く

維持量を続けることになると思います

 

まだ心配なところもありますが

おうちでは元気いっぱい、よく食べよく寝てよく散歩します

 

病院に来た時のホーム

もやってます
内容あまり変わらないじゃんって言わないビーグルしっぽ熊あたま
インスタはスタッフが頑張って更新中

キャバリア ホームについて

練馬区 西東京市の動物病院

南大泉せき動物病院です

 

キャバリアレスキューから預かっているホームのお話

 

しばらく体調を崩していました

”ほーちゃん体調崩す”

 

 

状態は良くなっています

近くによると出せー、かまえー、なでろー

ほぼ良いと言っていいのです

 

 

私が心配症だからという話もありますが

なんだかんだ愛着がわいているからか

少し心配が残っています

 

いつかは里親に、と思っていましたので出来るだけ肩入れしないように

と触れ合ってきましたが

体調の悪いこの子をみると、そうも言ってられませんでした

 

 

5日くらい前、下痢をして

ごはんへの食いつきが少し落ちていること

夜にすぐ血液検査

 

以前の健康診断でも赤血球がすこし低めでしたが

今回はほかにCRPが上昇していました

 

CRPというのは炎症を示す数値です

体の”どこに”まではわかりませんが

”どこか”に炎症があるのは確かです

 

超音波検査ではおなかの中、腹腔内の脂肪層が白く見えます

 

以前も(ナファモスタットが地球を回す)ブログでお話ししましたが

白い、ということは炎症を疑う所見です

 

膵炎の数値V-LIPは上昇していません

 

単なる下痢、だけでここまであがるかな?、と見落としがないように

X線検査

肺野の気管支が軽度の気管支パターン(気管支炎を疑うような)

 

風邪?的な?

いやいや、動物にいわゆる”風邪”はありません

 

とするとどこかに腫瘍が?

 

肝臓、脾臓、腎臓、前立腺、腹腔内リンパ節、腸管

心臓内、心臓外、胸腔内

 

とくにありませんでした

 

腎臓に一部シスト(液胞)、脾臓に変わらずしこりはありますが

以前からあるもので変化はしていません

 

前述のナファモスタット、抗生剤にも反応し

数値は下がり、本人の臨床症状も1日ほどで良くなってくれました

 

いつもの表情に戻っています

 

心配な点

 

今回の治療中にリンの数値が若干上昇、BUN(血液尿素窒素)の上昇がみられました

腎臓の影響からも上昇しますが、筋肉などの損耗からも上昇します

ただ、腎機能に予備能(正常に保とうとする力)がきちんとあれば

よっぽどでなければ上昇しにくいです

 

BUNは循環からも変化します

心臓循環が低下すると、腎臓への血液も減りBUNも上昇します

 

また腫瘍性、上皮小体機能からも上下しますが

カルシウムの上下を伴っていないことから、違う可能性が高いです

 

軽度の貧血ですが、ホームは預かったときから低めでした

甲状腺機能低下症によるものと考えています

また腎機能低下からも腎性の貧血が進むことも知られています

 

慢性の炎症からもACD(炎症性の貧血)が進むことがあり

今回は病態が相互に影響したものと推測しました

 

ぐんぐん減るようであれば、骨髄検査も考慮しますが落ち着いており

末梢血液に怪しい細胞も変化もありません

 

あとはCRPが下がったとはいえ、下がり方が少々遅いことでしょうか

 

下痢、気管支炎、腹腔の炎症 CRP上昇

血液循環、腎臓流入量の低下からBUNとリンの軽度上昇

 

が可能性としては高いでしょう

 

治療への反応は良かったです

 

たぶん心配性なだけ

 

ちょっと難しい単語、お話もありましたが

他のキャバリアさん、預かりさんのためにもそのままの言葉で書きます

 

今後は腎機能の低下を考え

腎臓用のごはん

リン、窒素の吸着剤

を追加

ピモベンダン(心臓のお薬)の増量

で対応していきます