カテゴリー: 動物の病気について

犬の糖尿病

こんにちは
練馬区 西東京市の
南大泉せき動物病院です。

今日は犬さんの糖尿病について軽く

糖尿病は血糖値が下がらなくなる病気です。
生活習慣病で有名ですね、なじみのある言葉と思います。

糖尿病では
・飲水量が増える(1日体重1kg当り80~100mlを超えます)
・おしっこの量が増える
・体重が減る
さらに
・元気が無くなる
・食欲が無くなる
・吐く
・下痢
などがみられますが
おそらく
「飲み水が増える」というサインが一番気づくはずです。

血糖値を下げるホルモンがインスリンです。

糖尿病を
簡単に分けますと

・インスリンが出なくなる
・インスリンが効かなくなる

となります。

(厳密にはヒトの糖尿病とは違うのですが)

犬さんでは
インスリンが出なくなる

猫さんでは
インスリンが効かなくなる

病態が多いのです。

そして悲しいことに
犬さんの糖尿病については
「治る」ということは難しいです、インスリンの投与(注射ですね(ノ_・。))が必要になります。

治療については次回。

犬のクッシング症候群 副腎皮質機能亢進症

練馬区の
南大泉せき動物病院です。

今日は病気のお話です。

クッシング症候群という病気を聞いたことはあるでしょうか?

猫ではまれで犬で多い病気です。
よく見られる症状としては

多飲多尿(たくさん水を飲んで、たくさんおしっこをする)
多食
腹囲膨満(おなかが膨れてくる)
脱毛
皮膚の感染症

などが多く見られます。
ですがすべてが見られるわけではないのです。

飼い主さんが気づかれるのは、水を飲む量が増える、治りにくい皮膚の感染症
だと思います。

たぶん、すべての症状があれば、獣医師の多くはこの病気を疑うと思いますが、必ずしも全部の症状が見られるわけではないのです。

このような症状が出ているワンちゃんの先生にはもしかして、と伝えてあげてください。

診断するには血液検査(ホルモン検査)が必要になります。

さらにクッシング症候群と診断したとしても難しいのはここからです。

クッシング症候群の治療としては、

おそらく内科療法を選択されることと思います。

副作用が無いわけではないですが、最近は安全に治療できる薬があります。(トリロスタン、アドレスタン等)

ただ、治療をしてもしなくても、

その子の予後(どれだけ生きられるのか)に関しては差がありません。

どういうことかといえば、

クッシング症候群によってどれだけその子の人生がつらいことになってしまうか

という点が薬を飲むか飲まないかというポイントになります。

さらにいえば、クッシング症候群にも
下垂体性、副腎性といった分類もあるので一概にはいえないのですが、、、

猫さんの慢性腎不全(腎臓病)のお話し 2

こんにちは 
練馬区 西東京市の
南大泉せき動物病院です。

猫さんの腎臓病の治療についてです。
まず、病気のステージのお話です。

BUN(尿素窒素)、CRE(クレアチニン)という血液検査の項目について聞いたことはあるでしょうか。

両方腎機能についての数値ですが、CREの数値を用いて慢性腎臓病を分類していきます。

ステージは1~4に分けられ、ステージ1が初期です。
(ただしこれは症状が安定している、慢性腎臓病におけるもので、急性腎臓病にはあてはまりません。)

・高血圧があれば、血圧をさげるお薬

・尿にタンパクが漏れ出ている場合は、タンパクを制限したフード、血圧を下げるお薬

・血液中のリン濃度が高くなるようであれば、リンを制限したフード

・血液検査で腎数値上昇が見られ、脱水状態により点滴

が主な治療です。

要するに

ごはん お薬 点滴

の順の3本柱です。

お薬と点滴は症状、検査結果にあわせての処方ですので、やはり定期的に尿検査等が必要になってきます。

まずは腎臓病用のご飯からはじめましょう。

ところが、猫さんたちはご飯にこだわりがある子が多いのです。
今まで食べたことのないご飯はなかなか食べてくれません。

今食べているご飯にすこーしずつ混ぜていき、2、3週間かけて切り替えるくらいの心構えが必要です。

ずっと同じご飯を食べてくれない子もいますよね。
そんなときは腎臓用のごはんもいろいろ種類がありますので、他のも試して見ましょう。

小さいときからいろんな種類のフードに慣れてもらうと、フード切り替えも受け入れてくれる子が多いようですね。

猫さんの慢性腎不全(腎臓病)のお話し 1

こんにちは
南大泉せき動物病院です。

猫さんと暮らしている方は聞いたことがあると思う、慢性腎臓病。
気にしている方もいらっしゃるかもしれません。

もともとネコは水の少ない地域で暮らしている動物でした。
そのため、少量の濃いおしっこをします。

そうすると腎臓には負担がかかることになり、シニアに入ってくると多くのネコは腎臓疾患を患うこととなります。

この腎臓病はやっかいで、病気のステージがかなり進まないと目に見える症状は出てきません。
ステージの進んだ段階は「尿毒症」と呼ばれ、
・食欲が落ちる
・嘔吐
・毛並みが悪くなる
・やせてきた
・口臭
などが見られます。

このような症状が見られるころには、腎機能は正常の30%も残っていないといわれております。

ではどうしたら良いのでしょうか?

この腎臓病、症状が出る前に

尿が薄くなる(尿比重の低下)(飲水量が増える)
尿にタンパクがもれてくる
血圧が高くなる
血液検査で腎臓の数値の上昇

等が検査でわかるのです。

早期に発見するには
尿検査、血圧検査、血液検査が大変重要になってきます。

(またそれぞれの検査結果から腎臓病のステージが決まり、治療法も変わってきます。)

日ごろから猫さんの様子を観察をすることはもちろん、動物病院での定期健康診断が大切なことがわかりますね。

ただ猫さん、シャイな子が非常に多いですよね。
病院に連れて行かれることが好きな子は、まぁいません。。。。

そんなときはおしっこを持っていって尿検査してもらうことをおススメします。

尿検査だけでも、尿比重、尿タンパクなど大切な項目がわかります。

尿の採り方、持って行き方はかかりつけの先生に聞いてくださいね。

早期の診断治療で、猫さんの寿命、QOL(生活の質)が改善されることがわかっています。

さて次回は腎臓病の治療についてです。

犬のアトピー性皮膚炎 食物アレルギーについて その2

こんにちは、南大泉せき動物病院です。

前回までは診断編でしたので治療方針についてです。

アトピー性皮膚炎の完治は難しいです。

また若いうちに発症することから飼い主さん、動物への負担も考えながら治療方法を決めていきましょう。

治療方法も様々ですが、体への負担が少ない順でおおまかには

おうちのお掃除

シャンプー

ごはん

サプリメント類

外用薬

内服薬、注射薬

となります。

まずおうちのお掃除、これ大事です。

アトピー性皮膚炎の原因は、ハウスダスト、カビ、花粉などです。

お掃除や散歩後の乾拭きなどをしてもらうことで、体につくアレルギーの原因(アレルゲン)を減らすことができます、一番の治療です。

花粉を持ち込まない、入れない、のは人のスギ花粉症と同じですね!(私も花粉症)

次にシャンプー

これも体についたアレルゲンを落とすと同時に、皮膚のバリア機能に合わせたシャンプーを使うことで皮膚を強くすることができます。

ただ、アレルギーだからこのシャンプー!というわけでなく、乾燥気味、脂気味などその子に合わせたシャンプーを使うことが大切です。

ごはん、サプリメント類も同じく皮膚のバリア機能を改善することができます。

 

ここまでで痒みが抑えられると、体への負担も少なくかなり良い結果です。

シャンプーの頻度、種類はその子に合わせて処方しますので、ご相談ください。

できるだけシャンプーで維持してあげたいのですが、治療初期の回数はどうしても多めになってしまいます。

ご家族のご理解、ご協力が不可欠な治療です。

 

ですが、残念ながら外用薬、内服薬の治療が必要になってしまう子がいるのも事実です。

 

皮膚症状の範囲が狭い場合は、塗り薬、スプレー剤を使って痒みを抑えてあげることができます。

 

内服薬、注射についてはメリット、デメリットがあります。

メリット デメリット 有効率
ステロイド(副腎皮質ホルモン) ・即効性がある ・長期連用副作用 ほぼ100%
・有効性が高い ・投薬を止めると再発
・安価
免疫抑制剤 ・副作用が少ない ・免疫を抑制する 約70%
・導入時は高価
減感作療法 ・副作用が少ない ・開始時に特殊検査が必要 約30~70%
・有効なアレルゲンが限られる (有効アレルゲンなら)
・注射なので頻回来院
・そこそこ高価
インターフェロン療法 ・副作用が少ない ・注射なので頻回来院 約50~70%
・アレルギー体質の改善 ・ちょっと痛い。。。 (報告に差)
・導入時は高価

ざっとですが、こんな感じです。

いかに副腎皮質ホルモン(ステロイド)の投薬量、期間を減らすかがポイントとなります。

 

犬のアトピー性皮膚炎 食物アレルギーについて

こんにちは、南大泉せき動物病院です。

ワンちゃんたちの皮膚について、です。

治らない外耳炎、足の指の間の痒み、口周りが痒い子、など様々いらっしゃると思います。

アレルギー、アトピーです!と言われたことありませんか?

実はワンちゃんたちのアトピー性皮膚炎、まだすべては解明できておりません。

そして、除外診断せずに一足飛びにアトピー、アレルギーとは診断できないのです。

 

アトピー性皮膚炎にかかりやすい犬種として

柴犬、シーズー、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェルティ、ウェスティ、などが挙げられます。

症状が出やすい体の部位は、両耳、眼周り、口周り、内股などです。

さらにアトピー性皮膚炎の多くは3歳未満で発症することが知られています。

「痒み」の強い病気は

ノミアレルギー、疥癬(皮膚に寄生する小さいダニ)、毛包虫(ニキビダニとも)、

細菌性皮膚炎、マラセチア(酵母)性皮膚炎、

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、

まれな疾患として、自己免疫性、皮膚腫瘍(上皮向性リンパ腫等)もありますが、後日。。。

などが考えられます。

まずは治る病気を上から順番に

駆虫薬、シャンプー、飲み薬、外用薬を駆使して治療していきましょう。

感染源を治療、抑えたにも関わらず、痒みが残る場合、アレルギー、アトピーを疑います。

血液検査で、IgE、リンパ球反応検査、等がありますが、あくまで「痒みを起こす素因」がある、とわかるのみです。

血液検査のみで食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、との診断はできません。

ですので、食物アレルギー、アトピーの診断にたどり着くには痒みの起こる病気の除外が必要になるのです。

 

次に食物アレルギーの診断、治療は除去食試験を行います。

タンパク質をアレルギーの原因にならない程、細かく分解した特殊な療法食を使います。

療法食とお水で8週間過ごしてもらいます。

症状がなくなった場合は、食物アレルギーが強く疑われます。

症状が少し減った場合は、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の混在型の可能性があります。

症状が全然変わらなかった場合はアトピー性皮膚炎の疑いが強くなります。

8週間は大変ですが、ほかの食べ物をあげてしまうと試験の結果があいまいになってしまいます。

今後の治療方針が決まる大切な試験ですので、一緒に頑張りましょう。

 

アトピー性皮膚炎の診断が着きましたね、治療については次回。

 

犬の心臓病 僧房弁閉鎖不全症 3

南大泉せき動物病院です。

さて前回の続きです。

治療について

人医療では機能しなくなった弁を縫い縮める、人工弁など人工心肺を用い手術することができますが、

獣医療ではまだ一般的ではありません(ご希望があれば人工心肺手術を行える病院をご紹介します、手術費用は、、、軽自動車新車~コンパクト新車くらい)

体は少なくなった血流を全身に行きわたらせるため、血圧をあげる、心拍数を増やす、血液中の水を増やす等の対策を取りますが、

これらが結果として心臓に負担を増やしてしまします。

そのため、心臓病治療の基本は、血圧を上げる物質(アンジオテンシン)を作らせないACE阻害薬というお薬を使います。

また心拍数が高すぎる場合には心臓の働きすぎを抑える(β遮断薬)

血液の水分量が多い場合には利尿薬を使用したり、

心臓の収縮力が落ちすぎてくると、心臓の働きを助ける薬(ピモベンダン)

などを組み合わせ、治療していきます。

基本はACE阻害薬ですが、症状やエコー検査、レントゲンを定期的に行いお薬を状況に応じ組み合わせていきます。

お薬が苦手な子も大勢いますので、錠剤が小さいものや、フレーバーが付いていて飲み易くしているものや

お薬を包んでおやつみたいに食べられるものなど

いろいろな方法があるので、ご相談ください。

 

犬の心臓病 僧房弁閉鎖不全症 2

こんにちは

南大泉せき動物病院です

ワンさんの心臓病、僧帽弁閉鎖不全 2回目です。

心臓には四つの部屋があり、境目には弁があります。

弁というのはそれぞれの部屋をふさいで、血液を逆流させないように、
一方通行にさせるためのパラシュートのような膜です。

「僧帽弁」は心臓の左側、心室と心房の間にある弁です。

これが機能しなくなると

正常では全身に送られるはずの血液が、肺へと逆流してしまいます。

そのため僧帽弁閉鎖不全症では

本来全身へ送られるはずの血液「100」
が「80」へ減少

血流が足りないため、全身へ血液を送るため体は血圧を上げようとします。

血圧が上がると、心臓への負担はさらに増えます。

狭いところへポンプで液体を流すのは大変な労力ですよね。

心臓への負担が増えると心臓の筋肉はどんどん大きくなっていきます。

大きくなった心臓は、動きづらくなり心不全へと進行していきます。

左心室から逆流した「20」の血液は肺へとどんどん溜まっていきます。

肺に血液が溜まってしまうと肺水腫、「肺に水が溜まった」といわれる状態です。

水に溺れた状態に近いです、呼吸をしたくてもうまくできず非常につらい状態です。

できれば図で説明したいですね(ノ_-。)

治療については次回!

犬の心臓病 僧房弁閉鎖不全症

こんにちは

南大泉せき動物病院です

さて今回は心臓病です。

ワンさんのご家族の中にはかかりつけの先生に、
「心雑音がありますね」「心臓病です」とお話をうけた方もいらっしゃると思います。

特に僧帽弁閉鎖不全との名前をお聞きになったことがあると思います。

シニア
小型犬
ぽっちゃり

に多い病気です。

日本で多い犬種としては

トイプードル
チワワ
ミニチュアダックス
ポメラニアン
ヨーキー
ミニチュアシュナウザー
シーズー
マルチーズ
キャバリア

などが挙げられます。

素因として、家族性、遺伝性の関与が考えられています。

人気の犬種が多いと思いませんか?

早期に発見、診断することで予後(その子の人生)を変えていくことができます。

診断には、まずは聴診、そして超音波検査(エコー)です!

当院では心臓エコー用のセクタ型プローブを備えております。

病態については次回!