練馬区 西東京市の南大泉せき動物病院です。
今日は猫の肥満細胞腫についてです。
え?うちの子太ってるから?
ちゃいます。
細胞にヒスタミンなどの顆粒をたくさん抱え込んでいて大きく見えるから肥満細胞なのです。
点々が顆粒です。
この肥満細胞、正常でもリンパ節など組織中には散見されます。
細胞分裂が止まらなくなり異常化したものが肥満細胞腫です。
犬と猫では少々違う増え方、悪性度なのですが、
皮膚にできた肥満細胞腫は、一般的には猫の方が悪性度は低く手術で切除すれば問題ないことが多いです。
犬の場合は悪性度が高く、浸潤(浸み込むように広がっていく)
転移(遠くの組織に腫瘍が飛んでしまうこと)
が強いためかなり大きく切除しないとなりません。
猫の場合は頭、頚(くび)に出来ることが多く、小さめのしこりを作りますが、犬程大きく切除しなくてもきれに取り切れることが多いです。
(とはいえ、中途半端にぎりぎりで切除するとすぐに再発します)
今回のネコさん
内股に皮膚炎があるとのことで来院されました
ムムム、なんか皮膚炎じゃないぞ
表面のスタンプを取ると、いましたね、肥満細胞
しかも
よくある”しこり”を”頭部”にと違います
猫では皮膚肥満細胞腫ではなく内蔵型肥満細胞腫が多くみられることも知られています。
文字通り肝臓や脾臓にできてしまい、それが皮膚に飛んでしまうタイプです。
幸いこの子は超音波検査で肝臓、脾臓には腫瘍がありませんでした。
表面がジュクジュクしており、下半身にできていることから
悪性度が高い可能性を考え大きめに切除することとなりました。
(今の技術では細胞診のみで悪性度を判断することはできません、
ですので切除は悪性と見越して大きめに切除がセオリーです)
手術範囲を毛刈りして、切除範囲をマーキングします。
切除後です。
腫瘍直下の筋膜も切除します。
縫合しました。
病理診断では中等度の悪性度でしたが、きれいに取り切れていました。脈管浸潤(血管、リンパ管にのって他に転移)も見られませんでした。
再発した場合でもセオリーは切除です。
ただし多発した場合、肝臓脾臓に多発した場合は
分子標的治療薬(腫瘍のみに作用するお薬)も選択範囲に入りますが、犬の肥満細胞腫の承認しか得られていないため、効能外使用となります。
その辺はご相談ください。
犬の肥満細胞腫、分子標的治療薬のお話はまた次の機会に