練馬区 西東京市の動物病院
南大泉せき動物病院です
下痢の治療 といっても
慢性下痢と急性下痢
小腸性と大腸性
分類をしながら治療を進めていきます
単にストレスであったり暴食であったりの単純性下痢であれば
2,3日で治ることがほとんどです
ですが対症治療に反応せず慢性化や再発性となった場合は
やみくもに治療するのではなく
系統立てて治療しながら診断を進めていきます
以前、セカンドオピニオンのブログ
除外診断のことを覚えていらっしゃいますか?
数日の対症治療に反応しない
再発する
初診時すでに2週間以上経過
などの場合
次のステップへと進みます
排便回数が増加しているのか
排便時のしぶりがあるか
糞便の量などの問診により
ざっと小腸性、大腸性と分類します
犬に小腸性下痢を起こす主な疾患 | |
食事の変更 | |
無分別な食事 | |
食事性 | 過食 |
不耐性、アレルギー | |
異物 | |
感染性腸炎(ウィルス、細菌など) | |
寄生虫 | |
小腸疾患 | 炎症性腸疾患 |
抗菌薬反応性腸症 | |
リンパ管拡張症 | |
浸潤性腫瘍 | |
イレウス(重責、腫瘍、肉芽腫、狭窄、異物) | |
膵臓 | 膵外分泌不全、膵炎、膵腫瘍 |
肝不全 | |
肝疾患 | 門脈圧亢進症 |
肝外胆道疾患 | |
消化器以外の疾患 | 副腎皮質機能低下症(アジソン病) |
糖尿病 | |
腎疾患 | |
敗血症 | |
子宮蓄膿症 | |
腹膜炎など |
|
ただこれすべてを片っ端から検査していくと
膨大な検査、費用になるのはわかりますよね
若齢、中齢、高齢
好発犬種
などからも絞り込みます
若齢であれば寄生虫、食事性
高齢であれば腫瘍、炎症性腸疾患
ダックスなら炎症性腸ポリープ
ヨーキー、マルチーズなら腸リンパ管拡張症が多い
その他・・・・・・
などからもしかして?
と絞り込みます
ですが例えばリンパ管拡張症であれば確定診断には
組織診断が必要となります
内視鏡、開腹下で腸の一部を切除する必要が。。。。
いずれも麻酔を行いますし
内視鏡では診断がつかないことも多くあります
2週間下痢してるから腸切除しましょう!
なーんてことはできません
まずは麻酔や手術を必要としない(侵襲性の低い)検査から始めます
除外診断ですね
糞便検査で寄生虫、細菌
血液検査で全身状態の評価、腸疾患以外の除外
レントゲン、超音波検査等で腫瘤性病変、リンパ節の腫大
腸のエコー病変、肝臓、すい臓、副腎、子宮などをチェックします
ここまでで異常所見がない場合は
侵襲性のある検査が選択肢に入ってきますが
全身状態が良く、低タンパクも起こしていない子には
試験的治療が勧められます
まずは低アレルギー食を2週間
(いろいろあるので割愛しますが市販のものは含みません)
反応→食事反応性腸症
改善がなければ
抗菌薬の投与を1~2週間
反応→抗菌薬反応性腸症
改善がなければ
ステロイドの投与1~2週間
反応→ステロイド反応性腸症
ですので治療してても治らないっとなるときは試験的治療の途中カモ
主治医の先生によく相談なさってください
今の治療はどのあたりなのか
途中で病院を変えるとまた一から検査がスタートしてしまいます
よくあるのが、
ごはんを変えたけど良くならない
ネットで調べた自称低アレルギー食あげてる
前医の投薬内容、わからない
検査内容、持ってきてない、なくした
非常に困ります
また一からスタート。。。。。
今までの除外が無に帰します
ゴール直前で赤甲羅的な
全身状態が芳しくなく、低タンパクなどを併発しているときは
時間の猶予がないため血液検査から試験的治療まで一気に進めます
下痢に限ったものではなく
非特異的(特定の疾患特有の症状)な主訴の場合は
よくある病気、侵襲性の低い検査から
系統立てて検査を進めていく必要があるのです
といったことを頭の中で組み立てて治療を進めていっています
もし今までの検査内容、結果、投薬内容がわかれば
ぜひともお持ちください