練馬区 西東京市の動物病院 南大泉せき動物病院です。

 

猫のフィラリア症ご存知ですか?

フィラリアは犬糸状虫というだけあって犬の病気と思われがちですが

猫のフィラリア症の報告も増えてきています。

 

増えてきた、というより診断がつくようになったことが大きいと思います。

おそらく以前からいたはずですが、診断がつくことなく見過ごされていたはずです。

 

犬と猫では病態も診断方法も異なります。

 

犬では多数感染が起こる可能性が高く、血液検査(抗原検査)でフィラリア感染を証明する事が出来ます。

また心臓の関連した病態、特に右心不全(腹水等)を表し

心臓エコーでもフィラリア虫体を検出できます。

 

猫では少数感染であり、血液検査(抗原検査)での証明が難しく

たとえ感染していたとしても検査で検出できないことが多いです。

また症状は心臓と関係なく、主に肺がより強い影響を受けます。

これをHARD(Heartworm Associated Respiratory Disease)

犬糸状虫随伴呼吸器疾患と呼びます。

これはフィラリア症以外の呼吸器疾患(たとえば猫喘息)に似ていて診断に苦慮することが多いです。

 

猫の咳はちょっと分かりにくいのですが

首をググッと前に伸ばし、クックッと鳴くような症状です。

犬では痰を吐くような仕草で分かりやすいですが

猫はちょっと分かりづらいです。

正常では猫はあまり咳をしません。

咳をしているようであれば、病院受診をお願いします。

 

上の写真はHARDを疑った子のレントゲン写真です。

 

 

 

 

下の写真は正常な子のレントゲン写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

気管支パターン(気管支の炎症を疑う)を起こしており

肺の過膨張を伴っています。

人のCOPD慢性肺胞性肺気腫に似ており

空気を吸い込む際は吸えるけれど、吐くときに気管支が狭窄し肺胞内に空気がトラップされたままになっている状態です。

気管支炎からもこの状態を起こします。

 

猫にフィラリアが感染してしまうと、根治療法はありません。

フィラリア虫体が死滅するときに大きな障害が生じます。

そのため成虫駆除は禁忌です。

また犬と違い、虫体の摘出は適応できません。犬でもまた特殊な技術であり、生命にかかわる手術です。

また肺動脈に寄生している虫体を摘出することは困難です。

 

そして成虫が寿命(1~3年といわれている)で死滅すると猫に障害が発生しますが、これは避けることはできません。

 

猫にフィラリアを感染させないこと、予防が重要になります。

 

当院での予防にはレボリューション(セラメクチン)をお勧めしています。背中に垂らすだけです、量も非常に少なく副作用も経験していません。

レボリューションはほかにも耳ダニ、消化管寄生虫、ノミの駆除予防効果もあります。

 

投与時期は犬と同じく5~12月の月1回投与をお願いしています。

(日本の各地域によって異なります)

 

いやいやうちは室内飼育だから

うちはマンションだからといわれましても

 

報告によれば、室内、室外飼育にかかわらず感染例があります。

またマンションの10階、室内飼育の猫にも報告がありますので

高層階、室内飼育であろうと感染することはあります。

 

やはり犬の感染例が多い地域での報告が目立ちますが

 

東京都内

世田谷区、品川区、国立市、東大和市

 

千葉県内

匝瑳市

 

埼玉県内

行田市、鴻巣市、北本市

 

などでも報告があります。

実際はもっと多いはず。

 

ちょっと難しかったでしょうか?

 

①猫にもフィラリア症があること

②診断が困難なこと

③症状がわかりにくいこと

④寄生されたら根治はできず予防が重要なこと

⑤屋内飼育、高層飼育でも感染すること

⑥予防は背中に垂らすだけ!

 

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