練馬区 西東京の南大泉せき動物病院です。
フィラリア(犬糸状虫) みなさん予防されていますか?
毎月飲ませている方も少し読んでみてください。
「予防」薬という名前なので、飲ませてから1か月は蚊に刺されても大丈夫!
となんとなく思ってしまいませんか?
実は違うのです。
投与前1か月に刺され体内に入ってしまったフィラリア幼虫を駆虫するお薬です。
4月に刺され体内に入ってしまったフィラリアを5月の投与で駆虫します。
そして11月までフィラリアを媒介する蚊はいます。
ですので投与の最後が12月までなのですね。(東京都内)
11月になり蚊をみないからもういいや、11月は飲んだし、12月はいいか、と飲ませない方の
お話も聞きます。
そうすると11月に体内に入ってしまったフィラリアの幼虫は駆虫されず、皮膚から筋肉、血管へと侵入し心臓内で春には成虫となってしまいます。
シーズンの最後12月まできちんとお薬を飲ませてあげてください。
確かに東京都内はフィラリア感染犬は少ないです、ほとんど診ません。
でもフィラリアを持った犬が転居、移動などで一時的にでもお住いの地域に来ることは予想されませんか?
都内だから予防しないでいっか、とお薬を飲んでいない子に感染する可能性はありませんか?
千葉で勤務していた病院では毎年検査で陽性(フィラリア感染)になる子が今もいます。
その治療は「治せるか」というと難しいです。
病状が軽ければ、心臓病と同じように飲み薬で管理しますが、成虫自体は駆除できません。
成虫を駆除するには
手術で心臓内にカテーテルやブラシを入れて虫体を摘出する。
成虫を駆除する注射、副作用は強く、治療で亡くなる可能性もあります、また1か月はケージレスト(散歩なんて厳禁、イメージとしてはキャリーに入れたままです、部屋の中ならいっかなどという甘いものではありません)
ワンちゃんたちに非常に苦しい思いをさせることになります。
お薬を飲ませるのが心配な方もいますね。
フィラリア予防薬の薬用量は
体重1kgあたり6~8µgです(イベルメクチン)
このお薬、ほかの病気、ニキビダニや疥癬などでも使います。
そのときの薬用量は体重1kgあたり100~400µgです。
予防薬の量は少ないですね。
フィラリア予防をしない理由はありますか?
投与前に検査をしてから薬をお出ししています。
これにも理由があります。
前シーズンに薬の飲み忘れ、吐いてしまった、
12月まで飲ませなかった、などで薬が効いておらず、
成虫が心臓にいる状態になることがあります。
成虫は子虫を生みます、1滴の血液中に何十匹と、です。
子虫が全身にいる状態で予防薬を飲むと一斉に子虫が死にます。
その際、ワンちゃんがショック症状に陥ることがあり、命を落としてしまうこともあります。
ですのでシーズンの投与前には、今心臓内に成虫はいませんよ、
を血液検査で確認してから予防薬を投与しましょう。
フィラリアは今も過去の病気ではありません。
月一回、年8回のお薬で予防できます!
必ず予防してあげてください。
追記
イベルメクチン系のお薬は純コリー犬種では注意が必要と言われています。
純コリー犬種の中には遺伝で治療レベルのイベルメクチン系投与で副作用が出る子がいます。
しかしその遺伝子を持っている子は日本の純コリー犬種では少ないです。
シェルティではもっともっと少なくなります。
一般的に副作用が出るのは体重1㎏あたり50µgと言われています。
予防量で副作用がでる可能性は非常に低いです。
心配な方は遺伝子を検査することもできますので、ご相談ください。
生涯1度の検査で済みます。